年に一度のショッピングイベント「618」はすでに幕を閉じた。今年のイベント期間中には、京東、天猫(Tmall)、淘宝(タオバオ)、「拼多多」などのショッピングプラットフォームはもとより、ショート動画共有アプリの「TikTok(ティックトック)」と「快手」などのプラットフォームで、取引額が相次いで過去最高を更新し、中国消費市場の極めて大きなポテンシャルをうかがわせた。また、デジタル人民元が初めて応用され、二酸化炭素(CO2)排出削減がキーワードになった。このように、今年の「618」は好調さを維持したと同時に、例年とは異なる新たな変化も見られた。
アウトドアライフが若者の新たな流行に
若者は旅に出ることを渇望し、自然への憧れが今年の春から夏への境目に爆発的な盛り上がりを見せた。
今年の「618」に、天猫ではグランピング関連の注文が130%以上増加した。キャンプ場でのキャンプやこれまでよくあったアウトドアでのキャンプではなく、若者に人気があるのは「手ぶらでぜいたくな時間を楽しめるグランピング」だ。タープやテント、本物の木でできたテーブルとイス、登山風のファッション、ゴージャスなシャンデリア、ハンドドリップのコーヒー、クラフトビール、バーベキューはすべて必要な標準装備だ。アウトドアコーヒードリップポット、レトロ調ランプ等は、今年の天猫「618」でもっとも人気のあるキャンプグッズの新顔だった。
キャンプが「一夜限りのユートピア」だというなら、魚釣りは若者の暮らしの中の「小確幸(小さいけれども、確かな幸福)」だ。「618」期間中、釣り用品の購入者は連日30万人を超えた。釣りは今では中高年の専売特許ではなくなり、「90後(1990年代生まれ)」と「00後(2000年代生まれ)」の割合が大幅に上昇し、18歳以下の消費者は前年同期比増加率が190%にも達した。
もう1つのアウトドアスポーツのサーフィンも今年、突然流行し始めた。「618」期間中、天猫のサーフボード販売量は同40%以上増加し、風を受けて波に乗る写真がなければ、SNSの「センター」を独り占めすることはできないという状況だ。
即時消費が新たな戦いの場に
「618」期間には、即時消費も新たに登場した戦いの場になった。
6月18日、遼寧省丹東市の振興区に住む陳さんは、地域密着型小売プラットフォームの京東到家で今すぐに必要な抗アレルギー薬を注文した。すると27分後、速配サービスの達達快送のドライバーが玄関のドアをたたいた。この2日間に、陳さんは同じプラットフォームで他にもいくつか注文し、真っ先に感じたのは「便利で速い!」ということだった。「スーパーの生鮮食品も買えるし、薬や花、携帯電話も買えて、どれも1時間で届く」という。
陳さんのケースは、中小都市へ拡大する即時消費利用者の縮図だ。今年の「618」には、京東到家が提供した「携帯電話で注文してから1時間で家まで配達」サービスが、全国1500以上の県・区・市をカバーした。東北3省だけでなく、内蒙古(内モンゴル)自治区、新疆維吾爾(ウイグル)自治区、青海省、寧夏回族自治区などもカバー。中国の国境線上にある雲南省紅河哈尼(ハニ)族彝(イ)族自治州や丹東市などの都市でも、リアルタイム消費の便利さを享受できるようになった。
中国国内の5Gスマホ売り上げが1億台を突破
今年の「618」期間中、全国の消費者の注文金額がもっとも多かった品目は携帯電話だ。小米(シャオミ)も18日、「決済額190億元(1元は約17.1円)という数字は、前年同期比90%増にあたる。主力の高級機種の市場では、『小米11 Ultra(ウルトラ)』がプラットフォーム全体のアンドロイド機種の売上でトップに立ち、ユーザーにもっとも人気のアンドロイド主力高級機種になった」と発表した。
小米は決済額190億元で「618」期間の過去最高を更新したのに続き、プラットフォーム全体のアンドロイド機種の売上でトップに立っただけでなく、高級機種の売上でもトップに躍り出たことを19日に明らかにした。一方で、中国情報通信研究院の最新のデータでは、今年1-5月に、中国国内の5Gスマートフォン出荷量は1億800万台に達したという。
新製品が中心に 国産ブランドが消費意欲を刺激
今年の「618」には、京東も天猫もまるで申し合わせたように、ちょうど一年の中頃に行われ、年間ショッピングイベントの「センター」的地位にある「618」に新製品を投入。新製品の大半が新たに台頭した「新国産品」のブランドだった。複数のECプラットフォームの「618」プレセールの状況を見ると、多くの老舗ブランドと新進の国潮(中国伝統の要素を取り入れたおしゃれな国産品のトレンド)ブランドの勢いがすさまじく、中国国内市場の消費意欲を激しくかき立てたことがわかる。
天猫が発表したデータでは、5月24日のプレセール開始から1時間で10種類の人気商品が生まれ、そのうち4種類が国産品ブランドだった。6月1日には、新ブランド755種類の1日の取引額が100万元を超えた。
京東は、6月1日0時に幸先の良いスタートを切り、わずか10分間で新しい国産スキンケア品の取引額が前年同期の64倍以上増加した。京東超市も多くの新ブランドを呼び込んで「参戦」させ、200万種類を超える新製品が「初お目見え」した。
消費コンテンツコミュニティの「什麼値得買(「買う価値があるものは何?」の意味)」が発表した「新国産品618消費トレンド報告」によると、今年のショッピングイベント「618」には、ますます多くの消費者の買い物かごが新国産品でいっぱいになり、新国産品は今や新消費の主役となっている。新国産品ブランドが大量に登場し、消費者の暮らしのさまざまなシーンに全面的に浸透しつつある。これは中国消費市場に起こりつつある非常に重要な変化の1つだ。
消費データを見ると、老舗が新たな試みとして打ち出した商品がとりわけ若者の間で人気となっている。京東「618」がプレセールをスタートすると、ミルクキャラメルの大白兎が打ち出した香水とボディソープの売上のうち、若いユーザーの占める割合がそれぞれ46%と41%に達した。製薬会社の同仁堂のフェイスマスクは、「95後(1995年から1999年生まれ)」の購入量が23%に達した。
デジタル人民元が初めて「618」の舞台に登場
最近、北京、上海、長沙などの都市で、デジタル人民元の新たなテスト事業が相次いで行われている。そのテスト利用期間が「618」とちょうどぶつかり、今年は初めてデジタル人民元を使用できる「618」になった。
デジタル人民元テスト事業の総合的技術サービス提供企業だった京東科技は6月18日、ユーザーがデジタル人民元を使って京東で行った消費に関する成果報告を発表。それによると、6月1-18日にはデジタル人民元のサブウォレット21万件近くが京東アプリへ送られ、同アプリでデジタル人民元を使用して消費をしたユーザーは13万人を超え、取引件数は累計18万件に上り、消費額は2100万元を超えた。
デジタル人民元を使用する層にはどのような特徴があるのか。同報告書によれば、京東の各シーンでのデジタル人民元使用の消費者のうち、「80後(1980年代生まれ)」と「90後(1990年代生まれ)」が圧倒的に多く、合わせて70%近くを占め、70歳以上のユーザーも1千人を超えた。男女比では、男性が45%、女性が55%だったという。
CO2削減が成果報告のキーワードに
今回の「618」では一部のプラットフォームが成果報告を公表していないものの、今回、あるデータが表舞台に押し出されるような形で初めて公表された。
京東は5月20日に行った2021年京東第18回「618」イベントスタート・状況発表会で、「責任ある消費を提唱するため、今年の京東の『618』では、CO2排出量前年同期比5%減の目標を達成する」ということを打ち出した。データによれば、今年の「618」期間中、京東はこの削減目標を達成し、そのうちリサイクルパッケージの利用がのべ1150万回に達して、使い捨てによるゴミを10万トン近く削減したという。
同じように、今年の天猫「618」の成果発表でも、環境面の「グリーン成果」が目立つようになった。6月18日現在、天猫はまだ公式な報告を発表していないが、「淘宝と天猫での注文1件当たりのCO2排出量は前年同期より17.6%減少した」とのデータを明らかにしている。
天猫「618」組織委員会の関係責任者は、「中国国内でプラットフォームがオンラインショッピングをめぐるCO2排出量データを発表するのは今回が初めて。『618』の準備過程で、私たちはCO2削減目標を設定した。阿里雲(アリクラウド)も将来のCO2排出ゼロ計画『ゼロ炭素クラウド』を発表した。今回の『618』がよりグリーンで低炭素な消費イベントになったことを願っている」と述べた。(人民網日本語版論説員)
「人民網日本語版」2021年6月24日