2020年度大学卒業生の就職活動シーズンがまだ記憶に新しいというのに、最近の数週間、集中的な学校再開からまだそれほど経っていない各大学で、例年より前倒しして21年度卒業生たちの就職活動が始まった。20年の特殊な就職シーズンを経て、21年度卒業生はさまざまな状況に対し前倒しでしっかり準備をしている。「中国青年報」が伝えた。
復旦大学経済学院金融班の班長を務める曹松さん(仮名)は、「留学帰国者の競争力」を早めに予想したと言い、「2021年度卒業生は元々人数が多い上に、新型コロナウイルス感染症の影響で起きた『留学帰国者ラッシュ』も考えに入れなければならない。自分の感じでは、競争はかなり激しくなると思う」と話した。
大学生向けの就職情報プラットフォームの梧桐果のデータによれば、2020年になってから活発に就職活動をしている留学帰国者は19年の同期に比べて58.19%増加した。現在、留学生の7人に5人が帰国し、メディアの中には目下の帰国ラッシュを「民族の歴史でも珍しい人材の大規模還流」だと評するところもある。
上海市浦東エリアの若い人材の大きな特徴は留学帰国者が多いことだ。留学帰国者を上手に適切に用いることが、これまでずっとこのエリアの人的資源発展の突破口だった。このエリアは上海市の欧米同窓会やケンブリッジ大学の上海校友会、コロンビア大学の上海校友会などの校友会組織と積極的に提携して、求人情報を広く発信し、これまでに有名大学の卒業生300人あまりが「浦東にとどまっての実習」に申し込んだという。
英国のデ・モントフォート大学金融学部を卒業した張馳斌さんは、感染症の影響で英国に戻って大学院に進むことができず、現在は浦東の川沙新鎮河長のオフィスで実習生をしている。「ネットで申し込みのリンクを見た。川沙なら自宅から近いので申し込んだ」と話す張さんは、元々の計画では大学院を卒業した後で金融機関で働く予定だった。しかししばらく実習をするうち、地元でもできることがいろいろあると気づいた。「これまでは小都市や農村はどこも農地だと思っていたが、今は大勢の若者が村で民泊施設を経営していることや、村のコミュニティの公共施設もサービスも整っていることがわかった」という。
曹さんは、「優秀な留学帰国者以外にも、21年度の卒業生は中国国内のさまざまな大学、さまざまな地域からくる競争のプレッシャーに直面することになるだろう。金融業界を例にすると、国有4大銀行、投資銀行、証券会社などが今年と来年の求人を増やすと明らかにしたが、増えた分の求人のハードルはどれも高い」と話した。
また曹さんは、「求人は増えたことは増えたが、雇用先の多くは募集の条件を非常に厳しくしており、応募できる人はそれほど多くない。例えば、杭州市余杭区でさきに打ち出された清華大・北京大特定プランでは、対象は2つの大学の学生だけだった。多くの雇用先が、現地の大学を支援するために、求人に際して地元の学生を中心に採用している」と話した。
復旦大学新聞学院で指導員を務める蔡先生は、「選択肢に直面して困惑する多くの学生にとって、主な問題は不安だ。実習、卒業論文、就職活動がいっぺんに頭上にのしかかり、大きなストレスを感じ、自分を見失いやすく、どのような選択をしたらいいのかわからなくなる」とした上で、学生ごとに異なる不安に向き合った経験を踏まえて、「自分のリズムでやればいい」とアドバイスをした。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年10月13日