北京市の新発地市場で新型コロナウイルス感染症が発生して以来、海鮮市場、スーパーマーケット、インターネットプラットフォームの多くがサーモンをはじめとするシーフードを相次いで棚から下ろし、日本料理店の経営にとって大きな打撃になった。このほど取材したところ、感染症が落ち着くのにともなって、日本料理店の人気も回復し、店側もモデル転換して自衛策を取り、サーモンの仕入れの再開や居酒屋への転身のほか、価格を抑えた焼肉・ビールセットといった新しい飲食サービスを打ち出すところもある。「北京日報」が伝えた。
生で食べる料理が消えてメニューが薄くなった
「この店には何度も食べに来ているが、こんなに閑散としていたのは初めてで、メニューもかなり薄くなった」。日本料理が好きな女性の李さんは先週の週末、中関村のグルメ街・食宝街にある日本料理店の築底食堂に行ったところ、店の様子が普段とだいぶ違っていることに気づき、このように述べた。店長の于さんは、「新発地で感染症が発生した後、うちの店はサーモンなどの生で食べる料理を全て一時的にメニューから外し、一番人気のある刺身とウニ丼も一緒にメニューから外した」と説明した。
例年なら6月から8月にかけては日本料理消費の繁忙期にあたる。この時期のサーモンは最も脂がのっておいしいが、新発地の感染症ではサーモンが「無実の罪」でやり玉に挙げられ、北京市内のほぼすべての日本料理店が生の料理をメニューから外した。鼓楼大街の日本産牛肉を提供する焼き肉店の店長は、「魚介の刺身だけでなく、ずっと人気があるユッケも今はメニューにない」と説明した。
中国レストラン協会日本料理専門委員会の執行理事長を務め、寿司店・江戸前寿司を創業した姜炳昇さんは、「サーモンは日本料理業界で販売量が最も多い単品で、日本料理店の売上高の15%を占める。またサーモン、マグロ、エビ、カニ、貝類を含む生食の食品を合わせると売上高の半分以上を占める。こうした高級食材がなくなって日本料理業界の客単価も軒並み低下した」と述べた。
日本料理店の霧MIST南鑼鼓巷店では、これまでは予約しても夜9時過ぎまで並んで待つのが普通だった。しかし店長によると、「先週のお客様は数組だけ。今週になってやっと少し増えてきた」状況だという。