今月21日、上海市にある同済大学のリニアモーターカー試験線路を、ブルーグレーのテスト車両が駆け抜けた。これは中車四方股フン公司(フンはにんべんに分)が開発した時速600キロメートルで走行する高速リニアモーターカー試験車両の第1回走行テストだ。北京市や長沙市で開通した中・低速リニア路線とは異なり、高速リニアは高速鉄道と民間航空の間の空白を埋めるものとみなされるが、10数年前に始動した上海-杭州市間のリニアプロジェクトは残念なことに「道半ばで頓挫」している。今回のテスト車両のテスト走行成功を受けて、各方面では「高速リニアの時代がこれで本当にやって来るのでは」と期待が高まっている。北京日報アプリが伝えた。
今回のリニア試験路線では、テスト車両が初めてシステムの共同テストを行い、さまざまな運転状況での動態的な走行テストを行った。これには各種の軌道桁、分岐装置、小カーブ、坂道、エリア切り替えなどが含まれ、7項目200数件のテスト項目を完了し、浮上・推進、スピード・安定性、車体・レール間の制御、牽引力、車両と地上との通信などの重要な性能を全面的にテストした。
高速リニア課題チームの責任者を務める中国四方公司の丁叁叁副チーフエンジニアは、「さまざまなテスト運転状況で、車両の浮上と推進は安定し、運転状態は良好で、各種の重要技術指標は設計の要求に合致し、設計の目標を達成した」と述べた。
現在、高速リニアプロジェクトは開発が順調に進み、テスト車両がテスト走行に成功したと同時に、5両編成のプロジェクトサンプル車両の開発も着実に推進されている。計画によれば、時速600キロメートルの高速リニアプロジェクトサンプル車両システムは年内にラインオフし、高速リニアの全面的な技術とプロジェクト能力を備える見通しだ。今後は、高速リニアモデルプロジェクトの建設を通じて、時速600キロメートルでの線路走行などに関連した作業を進めていく。
日本では1990年に山梨県に建設されたリニア実験線を土台にして、東京、名古屋、大阪を結ぶ高速リニア路線を建設し、最高時速は約500キロメートルに達する。このうち東京-名古屋区間が他区間に先駆けて27年に開通する予定だ。
今年4月、浙江省はハイレベルの交通強省の建設を全面的に推進するための決起会で、「10大1千億元(1元は約15.1円)規模プロジェクト」や「100大百億元規模プロジェクト」を計画し、この中には時速600キロメートルの滬杭甬スーパーリニア(上海-杭州-寧波)のプロジェクトも含まれることを明らかにした。
上海-杭州リニアの評価審査に関わっていた同済大学の孫章教授は、「中国高速リニアの営業運転が実現するのはそれほど遠い先のことではないだろう。日本がリニア技術の実現を安定的に推進している姿から学ぶことができる。一方では、まずモデル路線を建設し、徐々に延伸するといい。たとえばまず上海から杭州までの区間を建設し、それから寧波まで延伸する。この路線には確かにニーズがある。その一方で、技術のバージョンアップを徐々に積み重ねて、建設コストを徐々に下げていけばいい」と提案した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年6月24日