李克強総理は5月28日午後、北京の人民大会堂3階金色ホールで記者会見を行い、国内外の記者の質問に答えた。記者会見はオンラインビデオ形式で行われた。ここでは、今回の記者会見のポイントを早読み形式で見てみよう。
1. より大規模な経済刺激策を講じる計画はあるか?
現在打ち出している政策はすでに十分力強いものだ。中国は、水を与えて魚を育てるように支援策を講じて経済を刺激する「放水養魚」策を進めようとしている。十分な水がなければ魚は育たないが、水が多くてもあふれてバブルになり、さらには「サヤ取り」をするような者まで現れ、魚が育てられないばかりか、水が濁っている間に魚を捕っていくようにどさくさに紛れて利益を貪る者まで出てくるだろう。ただ、もし経済面や他の面でさらに大きな変化が生じれば、ためらうことなく新たな措置を講じる政策的余地はある。
2. ウイルス発生源調査の問題をどう考えるか?
中国と多くの国々がこの新型コロナウイルスの発生源の調査を主張している。科学的な発生源調査は感染症に対するより良い予防・抑制にとってプラスになる。
3. 台湾地区に対する政策で全体的に考慮していることは何か?
台湾地区に対する方針は一貫している。台湾地区の問題は中国の内政であり、外部の干渉は許さない。
4.大学生や出稼ぎ労働者の雇用をどのように支援するのか?
雇用は最大の民生だ。中国は9億人以上の労働力を抱えている。彼らを雇用できなければ、9億人が食べていくのに困ることになり、雇用できれば、9億人は巨大な財産を創り出すための担い手となる。安定した雇用のために、講じることのできる政策はすべて講じ、最大の資金を投じる。理に適っていない規定や制限を撤廃し、新たな就職口を増やしていく。
今年の大学卒者数は史上最高となり、874万人に達した。彼らが「糸の切れた凧」にならないようにするために、今年と来年の2年間は引き続き雇用対策サービスを提供する必要がある。
5. 香港地区に対する政策は調整されるか?「一国二制度」を放棄するのか?
「一国二制度」は国の基本国策で、全人代が可決した国家安全を守ることに関する決定も、「一国二制度」を安定して続けていくためのものだ。
6. 中米は「新冷戦」に入るのか?またはつながりを断つことになるのか?
我々は冷戦思考をやめるよう主張してきた。いわゆる「つながりを断つ」ことに関しては、誰にとってもメリットはない。中米間の通商・貿易協力はビジネス上のルールを遵守するべきであり、市場によって選択され、企業家によって判断が下されるべきだ。中米関係はこの数十年多くの困難と曲折を経ており、共通利益の拡大と、意見の相違・対立の管理・コントロールのために知恵を絞ることが必要だ。
7. 「安定」・「保障」と市場化改革との関係は?
「安定」と「保障」自体が市場化改革の手段だ。我々は現在1億2千万の市場主体を抱えているが、彼らこそが財産であり、彼らをつなぎ止めることができれば、未来は開ける。苦境の緩和や「放管服改革」(行政のスリム化と権限委譲、緩和と管理の結合、サービスの最適化)を通じて、市場主体が生き残り、今後も存在し続け、成長できるようにする。今年の目標は1日当たりの新規増加市場主体を約2万にすることだ。
8. 中日韓協力をどう見ているか?
我々は「大循環」において中日韓という「小循環」を確立し、「水に近き楼台は先ず月を得る」というように、まずは近隣国どうしの関係を良くすることで利益を得ていこうとしている。今年、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の期限通りの締結を目指す。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)に対してはオープンな態度で臨んでいる。
9. 貧困脱却の難関攻略は今年、期限通りに達成できるのか?
我々は今年、貧困脱却の難関攻略任務を期限通り達成しなければならない。これは習近平氏を核心とする中共中央が社会全体に対して行った厳粛なコミットメントだ。今回の新型コロナウイルス感染症による打撃を受け、一部の人々は貧困に逆戻りした可能性もあり、貧困脱却の任務はさらに重くなっている。我々は多くの措置を同時に講じ、特に貧困脱却を最低ラインとして措置を進めていくことで、今年中に貧困脱却の難関攻略任務を達成する自信がある。
10. 世界の公衆衛生上の危機という試練にどう対応していくか?
感染症と闘う過程においては公共財が特に必要であり、実際にはさらなる開放を行い、貿易や投資の自由化と円滑化を進める必要がある。中国の確固たる開放性は今後も変わらないし、変わることはあり得ない。企業サプライチェーンの調整は市場ルールに基づいて行われるべきで、人為的に、あるいはいわれもなく行われるべきではない。
11.中国は自発的にさらに多くの開放拡大措置を打ち出す
中国が確固として対外開放を推進することは、今後も変わらないし、変わることはあり得ない。我々は引き続き世界との協力を拡大し、自発的にさらに多くの開放拡大措置を打ち出していく。開放は各国にとって、人間にとっての空気のようなものであり、少しの間も離れることはできない。そうでなければ窒息してしまう。
(編集AK)
「人民網日本語版」2020年5月29日