新型コロナウイルス感染の急激な感染拡大で中国の人々の生活や仕事は未曾有の状態に陥っている。中国の思い切った対策の多くの効果が目に見えるようになっているものの、中国の人々が元通りの生活に戻れるようになるには、まだしばらく時間が必要となるだろう。中国の状況も深刻であるものの、感染は世界中に広がっており、世界の人々が不安な生活を余儀なくされている。特に、日本や韓国、イタリア、イランといった国は感染拡大が深刻化しており、中には感染症警戒レベルを最高レベルに引き上げている国もある。また、中国の経験を参考にして、街を封鎖して、感染拡大を食い止めようとしている国もある。しかし、環球時報の日本駐在記者は、今、日本人が不思議なほど「悠長」であると感じている。環球時報が報じた。
「春の陽気となった三連休、公園には依然として悠長な人々がたくさんいるけど、できるだけ他の人に近付かないように通ろう」。日本のある大学で教授をしている華僑の友人は24日、微信(WeChat)のモーメンツにそのように綴り、多くの人で賑わっている公園の写真をアップしていた。写真を見ると、マスクをしていない人もまだたくさんいる。
24日夕方の時点で、日本で新型コロナウイルス感染が確認された患者の数は850人となった。天皇誕生日だった23日は日曜日だったため、24日が振替休日となり3連休となった。連休中、東京は晴れ間が広がり、多くの人が公園などに足を運んだ。
日本政府は、防疫措置を非常に重視しているように見え、23日までに、安倍晋三総理は、新型コロナウイルス感染症対策本部を12回開いた。しかし、東京の地下鉄やスーパーに行くと、駅員や店員を含めて、まだマスクをしていない人をたくさん見かける。日本で中華料理店を10年以上営んでいる華僑は取材に対して、「最近、食事に来る中国人はかなり減ったが、日本人はほとんど減っていない」と話した。筆者は事前にアポを取り、東京の喫茶店である日本人をインタビューした際、喫茶店内は普段と変わらず多くの客で賑わっていた。そして、筆者以外のほとんどの客がマスクをしていなかった。
あまりに悠長な日本人を見て、日本で生活する中国人は「なぜだろう?」と感じているようだ。日本で医学博士号を取得したある華僑の友人は「『悠長』に見えるが、本当に悠長なのかもしれないし、悠長になるほかないのかもしれない。今年は日本が開催をずっと待ち望んできた東京オリンピックがある。そのため、全ての行政措置は、オリンピック開催への影響を考慮しなければならない。もし、性急な措置を講じると、連鎖的にマイナスの影響が出る可能性がある。しかし、悠長にしていることによるリスクもある。『第二の武漢』にだけはなってはならない。日本では、そんな簡単に街を封鎖することはできず、すぐに病院を建設することもできない。政府が隔離宿舎としてホテルを使いたいと思っても、その要請に応えるホテルを見つけるのが非常に難しいのに、他の事がそんなに簡単にできるはずがない」との見方を示した。
取材では、ネット上を見ると、新型コロナウイルス関連のどの報道を見ても、その下のコメント欄には日本政府の対応が遅すぎると批判する声が寄せられている。特に、発熱などの症状があるにもかかわらず、病院をたらい回しにされて、新型コロナウイルス感染の有無の検査さえしてもらえないというケースが多々あるという情報には、不安な思いにさせられる。あるネットユーザーはSNSに「私は大阪のある病院のスタッフ。ある程度大きな病院で、新型コロナウイルス感染の疑いがある患者が数人入院している。でも、感染が確認されると、病院を閉鎖しなければならず、数億円の損失が出る。だから、病院は検査しない方針だ」と綴っている。
日本は現在、防疫措置の重点を、重症化するリスクの高い人に絞ろうとしている。厚生労働省は、国民に対して、感染を疑った場合にいきなり医療機関で受診するのではなく、全国536ヶ所の「帰国者・接触者相談センター」に電話するよう求めている。相談の目安としては、37.5度以上の発熱が4日以上続いている場合で、高齢者や基礎疾患のある人は、その状態が2日以上続く場合としている。相談センターが感染の疑いありと判断すれば全国726ヶ所の「帰国者・接触者外来」を紹介される。しかし、実際にはそれほど検査が実施されていないのが現状だ。今月20日の時点で、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客と湖北省武漢市からチャーター機で帰国した人を除くと、日本でPCR検査を受けた人の数はわずか693人にとどまっている。
日本で長年報道の仕事をするあるメディア関係者は、「日本政府が1日も早く、検査を受ける人の数を厳しく制限するというおかしな政策を改めることを心から願っている。日本人の我慢強さや忍耐力には敬服させられるが、新型コロナウイルス感染の可能性がある発熱や咳などの症状がある患者に対して、治癒するまで自宅待機し、重症化した場合にのみ医療機関を受診するよう求めるという政策制定の思考は既に常識からかけ離れている。早期発見、早期隔離、早期治療が正しい方法であるはずだ」と訴えている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年2月26日