中国国家文物局が何度も出品中止を要請
カンタベリーのオークションで中国の円明園から流失したと見られる文化財が出品されることが分かって以降、中国国家文物局はさまざまなルートを通して交渉を重ね、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)条約の精神や職業的モラルに沿い、中国国民の文化的権益や民族感情を尊重し、オークションや宣伝を止めるよう求め、さらに、世界の人々にオークションで落札することがないようにと呼びかけてきた。
しかし、それらの合理的要求がカンタベリーのオークション業者に受け入れられることはなかった。今月9日、その業者は「出品中止はしない」との立場を明確にし、その理由として、「文化財の略奪は150年以上前のことで、ユネスコの略奪された文化財は返還するという条約にはあてはまらない」と説明した。英国にも、このような文化財のオークション販売を阻止する関連の法律がない。
中国国家文物局は発表した声明で、「当局は中国の厳正な抗議を顧みず、違法に流失した可能性のある文化財をオークションに出品し、戦争で略奪された文化財との名目で宣伝するカンタベリーのオークション業者に強く反対し、強く非難する。自国や他の国の文化遺産を尊重し、違法に流出した文化財の原所有国への返還促進は、国際社会の共通の認識で、中国政府の一貫した姿勢でもある」と指摘した。
貴重な文化財の返還は厳しい道のり
ユネスコが2006年に発表した統計によると、中国から海外に流出した文化財は164万点に達する。うち、円明園から流失した文化財がそのほとんどを占め、少なくとも100万点以上ある。現在、それらの文化財は、法律に基づいて交渉する、買い取る、政府間交渉、寄贈などの方法を通して、中国への返還が試みられている。
近年、円明園十二生肖獣首銅像の多くがオークションを通して中国へ「帰ってきた」。保利集団は00年に、猿首、牛首、虎首の銅像をオークションで落札した。03年、著名な実業家のスタンレー・ホー氏が、中華海外流出文物救援基金に600万香港ドル(約8220万円)を寄付し、米国のコレクターから豚の首の銅像を購入し、国に寄贈した。ホー氏は07年、馬の首の銅像も購入し国に寄贈した。
十二生肖獣首は、クリスティーズやサザビーズなどの大型オークションに出品されてきたものとは異なり、今回の青銅器が出品されたのはカンタベリーの小さなオークション業者開催のオークションだった。業界関係者は、中国の文化財オークション企業と協力するよりも、この業者は目先の24%の手数料を得たかったのだろうと見ている。
中国国家文物局が16年に発表した「文化財オークション管理弁法」は、盗まれたり、盗掘されたり、密輸されたりした文化財、または明らかに過去に違法に略奪された中国の文化財などの物品をオークションに出品してはならないと規定している。今回と同じようなケースに直面した際、同局はこれまでも、国外のオークション業者に中国から流失した文化財の出品を中止するよう書簡で何度も要請してきた。今回のオークション後、同局は、「関連の国際条約や中国の法律の規定に沿って、今後も必要な全てのルートを通じて、中国から違法に流失した文化財の返還を促進する」との明確な立場を示している。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年4月17日
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