東京新宿のとある地域センターで9日、平均年齢70歳以上の高齢者20人あまりが、中国残留孤児をテーマにした舞踏劇のリハーサルを行っていた。同舞踏劇は中国と日本での公演が予定されている。出演者の多くは元中国残留孤児で、残留孤児の子供や家族もいる。彼らは高齢をものともせず、空調が効いた室内で汗だくになって稽古に励んでいた。彼らは、劇を通じて中国残留日本人孤児に対する中国人養父母の愛を表現し、両国の人々に歴史を忘れないよう呼びかけたいとしている。人民網が伝えた。
9日午後、4時間あまりにわたる2つの舞踏劇の稽古が終了した。1つは既存の舞踏劇を改変した「中国のお母さん」で、中国での公演が決まっている。もう1つはオリジナル劇「孤児の涙」で、8月26日に埼玉県で行われる終戦70周年記念活動で上演される予定だ。2つの劇はいずれも残留孤児がテーマで、舞踏を通じて戦争の残虐さと、苦労して孤児らを育て上げた中国人養父母の愛情を描いている。
劇に出演する高齢者はプロのダンサーではない。彼らは公演の成功に向けて、多くの時間を稽古に費やしている。出演者の最高齢は76歳、がんを患っている出演者も2人いる。彼らにとっては、日常生活すら容易い事ではないが、稽古中の彼らは、しゃがんだり走ったり、床に転げたりといった動作を何度も繰り返さなければならない。特に「中国のお母さん」の振り付けは激しく、リズムも速い。しかし、彼らは正確な振り付けを覚えるだけでなく、自らの感情をダンスを通じて表現しようと努力している。
元残留孤児の中村恵子さんは今年73歳。舞踊劇「孤児の涙」の中で、逃亡中に病死する日本人女性を演じる。中村さんは稽古中、床に倒れては立ち上がるという動作を何度も繰り返していた。中村さんは取材に対し、「稽古が疲れると思ったことはない。皆が演じているのは私の両親の話であり、自分の過去の物語だから」としたほか、「この劇を通じて、中日両国の人々に歴史を理解してもらいたい。孤児たちが中国の養父母への恩を忘れていないことをわかってほしい。中日の平和と友好を促進できることを願う」と涙ながらに語った。
舞台劇を組織した、中国帰国者・日中友好の会副理事長の宮崎慶文氏は、「今年は終戦70周年に当たる。戦争は残留孤児を含む多くの悲劇を生んだ。日本の人々に戦争を忘れないよう呼びかけるため、『孤児の涙』という劇を創作することを思いつき、多くの人の手による改変を経て、脚本を仕上げた。出演する役者の平均年齢は70歳を超え、病気を患っている人もいるが、皆真剣だ」と語る。
舞踏劇の監督を務める崔樹人さん(72)は劇団の中で唯一の舞踏経験者であり、残留孤児の家族でもある。崔さんは「日本には、侵略の歴史を歪曲しようとしている人がいる。自分が舞台劇に参加したのは、この劇を通じて日本の人々に歴史を正視してもらいたいため。役者はプロではないが、数カ月をかけて基本的な技術と知識を身につけた。彼らの忍耐力は尊敬に値する。プロの角度から見ると完璧とは言いがたいかもしれないが、彼らが演技に心を込め、ありのままの感情を表現していることには、感動させられる」と語った。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年7月13日