第12期全国人民代表大会第3回会議が15日午前に幕を閉じ、国務院の李克強総理が人民大会堂で記者会見を行った。約2時間にわたる国内外記者とのやり取りの中で、李総理から飛び出した名言の数々が、注目を集めている。
――「簡政放権」は爪を切るのとは違い、腕を切り落とすのと同じ。痛みがあってもやり遂げなければならない
中国経済が減速傾向にある中で、いかに改革を進めていくのか?との記者からの質問に対し、李総理は「簡政放権(行政のスリム化と権限移譲)は政府の自己革命だ。権限を移譲することは、利益に影響を及ぼすということ。これは爪を切るのとは違う。腕を切るようなもの。たとえ痛みがあってもやり遂げなければならない」と答えた。
――官僚の不作為、厳しく責任を追及
官僚の不作為問題への取り組みについて、李総理は「中国共産党第18回全国代表大会以来、中国共産党は『腐敗を必ず根絶し、汚職を必ず処罰する』という態度を貫いてきた。いわゆる『地位が高く、権力が大きい』官僚が法に基づき調査・処分を受けたことは、高い効果を生んでおり、国民からも支持されている。我々は『不正行為』を処分する一方で、『不作為』にも反対する。無能で無責任で怠惰な政治を決して許さない」と述べた。
――中国は皆と一緒に車を押している
中国は世界最大のエコノミーになったのか?との質問に対し、李総理は「国外でもこのような見方を耳にすることがあるが、『誇張しすぎ』の感がある。国際的な権威ある統計によると、中国は世界第2のエコノミーであり、1人あたりGDPを見ると世界80位にも及ばない」と答えたほか、「中国はフリーライダー(ただ乗り、国際問題の解決などに貢献しない存在)だとする見方があるが、これほど大きな国が誰の車にただ乗りできるというのか?中国は皆と一緒に車を押している」と指摘した。
――全国民の読書という雰囲気を構築
李総理は「書籍と読書は、人類が文明を伝えるための主な手段だ。私も時間がある時には趣味として読書を楽しんでいる。読書で得た知識は、一生の財産になる」と指摘、「全国民の読書という雰囲気を構築し、読書をユビキタスなものにしていきたい」と述べた。
――ネットショッピング、宅配サービス、電子商取引などの新たな業務形態を宣伝
記者に「ネットショッピングの経験はあるか?」と聞かれた李総理は、「私も例外に漏れず、ネットショッピングを利用したことがある。最近は書籍を数冊購入した」と答え、「ネットショッピング、宅配サービス、電子商取引などの新たな業務形態を宣伝していきたい」と述べた。
――中国政府の「道具箱」には、まだ沢山のツール
中国経済は今後も減速するのか?との質問に対し、李総理は「中国政府はここ数年、短期的で強い刺激政策を講じてこなかった。政策を運用する余地はまだまだある。我々の『道具箱』にはまだ沢山のツールが残っている」と指摘、さらに「これは、中国人が発明した囲碁と同じだ。情勢を見て策略を練りつつ、活路を見出さなければならない。活路を見出すには、『眼』が2つ以上必要だ」と比喩を交えつつ答えた。
――達人は民間にあり
李総理は創業・革新について言及した際、「これまでに、いくつもの創業カフェやソーシャル・イノベーション・プラットフォームを訪れ、独創的なアイデアを抱く若者たちを見てきた。彼らが開発する製品は市場のニーズをけん引することができるだろう。まさに、達人は民間にありだ」と指摘した。
――両岸の経済協力の推進は、2つのタイヤを同時に回す必要がある
「2つのタイヤ」という表現について、李総理は「まず1つ目のタイヤは、両岸(中国大陸部と台湾地区)経済貿易協力の制度化の強化だ。例えば、両岸経済協力枠組協定(ECFA)に続く関連協議などが含まれる。もう1つのタイヤは、相互開放の拡大だ。大陸部は、大陸で投資する台湾企業を特に重視する必要がある」と説明した。
――その質問には心が痛む
ミャンマー軍機の爆弾が中国国内に着弾し、住民が死傷したことについて質問を受けた李総理は、「その質問には心が痛む。我々には、中国・ミャンマー国境の安全と安定を断固として守る責任があり、またその力がある。中国国民の生命および財産の安全を断固として守っていく」と答えた。
――中米関係の「バラスト」は、今後より一層安定
李総理は中米関係について、「中米間には溝があるが、それよりも大きいのは共通の利益だ。溝を適切に処理することで、利益の交わる点を拡大できる。中米の経済貿易関係は今後より密接になり、中米関係の『バラスト』はより一層安定するだろう」と述べた。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年3月16日