4D印刷が登場 材料の自動成形を実現
IKEAで購入した家具用の板を部屋の中に放置すれば自動的に組み立てられる。自動車用の塗料がその構造を自ら変化させ、高湿度の環境もしくは塩のまかれた道路に対応し、自動車の腐蝕を防止する。軍人の制服を迷彩服に変化させる、もしくは毒ガスや銃弾の接触を効果的に防止する--。4D印刷技術はこれらの構想を実現できる。複雑な構造のプリンターを使わずに、設計に基づき自動的にその形状を変化させることができるのだ。科技日報が伝えた。
◆3D印刷との違いは?
今年3月にロサンゼルスで開かれたTED(Technology、Entertainment、Design)大会で、マサチューセッツ工科大学の研究者は、4D印刷という次世代印刷技術を初公開し、人々の視線を引きつけた。
4D印刷のプロセスについて、建築士・コンピュータ科学者のSkylar Tibbits氏は、「4D物体の四次元目を時間と定義付け、3D印刷によって製造したパーツを時間と共に自動的に変形・適応させる。硬質素材は枠組みを形成し、水で膨張可能な素材は同構造を曲げ、向きを変えさせる力の源となる」と説明した。
3D印刷技術はデジタルモデルファイルを基礎とし、粉末状の金属もしくはプラスチック等の合着可能な材料を使い、層を重ねることで物体を形成する技術のことだ。シミュレーション後の製造、もしくは製造中にシミュレーションされた効果を調整するという過程は、伝統的な製造の過程に一致する。一方で4D技術は、ソフトとハードの緊密な結びつきにより、この過程を一変させた。
4D印刷技術の研究を手がけるソフト開発業者・オートデスクのCarlo Olguin氏は、「4D印刷は金型の高速製造に根本的な変化をもたらした。3D印刷は事前に金型の製造とスキャンを実施し、それから材料を使って成形する。4D印刷はそれとは異なり、材料に設計を直接内蔵させることで、設計理念から実物に移るという過程を簡略化した。物体をロボットのように自動的に組み立て、複雑な製造機械を必要としない」と語った。
4D印刷の余分に増えた「D」は、時間によって示される。この革命的な新技術は、ソフトによって金型と時間を設定し、変形可能な材料を設定された時間内に高速成形させることが可能だ。
4D印刷はスマート化の程度がより高く、材料に自ら「創造」させることで、印刷の過程を簡略化した。しかし同技術は材料により高い要求を突きつけており、材料が実現のカギとなる。
4D印刷は現段階では成熟化していない。しかし研究者は、4D印刷がスマートで適応能力の高い新たなモノを創造し、かつバイオ科学・材料科学・ロボット・交通輸送・芸術・宇宙探査に革命的な変化をもたらすとし、非常に高い将来性を持っていると考えている。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年10月23日