「14ひきのシリーズ」の絵本作家・いわむらかずお氏が中国訪問
1939年東京に生まれたいわむらかずお(岩村和朗)氏は「14ひきのシリーズ」や「かんがえるカエルくん」、「タンタンのズボン」、「ふうとはなとうし」などの絵本で知られる日本の人気絵本作家。いわむら氏は14日、中国絵本研究家・児童文学作家の彭懿氏と共に国家図書館で「美しい中国・美しい読書」と題する対談イベントに出席し、自然と親子愛が紡ぎ出す子供時代をテーマに語った。中国新聞網が報じた。
「なぜネズミを描いたのか?」という質問に対し、いわむら氏は逆に、「小さいネズミをしっかりと観察したことがありますか?」と問い返した。いわむら氏によると、自身が描いたネズミは、街に住む尻尾が太くて身体も大きなネズミでは決してなく、森に住む野ネズミ(正式名称:ヒメネズミ)なのだという。「野ネズミは、目は大きいが、顔も身体も非常に小さく、とても可愛いらしい。『14ひきのシリーズ』では、非常に小さな世界を描きたいと思っていた。大家族を描こうとすると、ネズミはとてもぴったりの動物だった」と語った。
「なぜ10匹や12匹ではなく、さらに数の多い14匹だったのか?」という質問に対していわむら氏は笑いながら、具体的に14という数字を初めから選んだわけではないと率直に語り、「まず初めに10匹の子供たちを設定したので、それにお父さんとお母さん、さらにおじいちゃんとおばあちゃんを加えたら、計14匹になっただけ」と答えた。さらに、「偶然にも私にも5人の子供がいて7人家族なので、ちょうど14の半分の数だった」と付け加えた。
彭懿氏はいわむら氏の中国語版のすべての絵本の翻訳を担当している。彭懿氏は、この絵本リシーズは日本ではすでに100回以上増刷され、30年間にわたって愛されて来た」説明し、「最大の魅力はどこか?と言えば、1つは美しい大自然、もう1つは大家族の心温まる愛情。この絵本を読む最大の楽しみは、親と子供が一緒に読みながら、『どれが長男で、どれが次男だろう?』、『どこに赤トンボがとまっていて、花はどこに生えているだろう?』など一つ一つ探し当てていけるところにある。このように、自然のほかに、家族愛もいわむら作品の重要なキーワードとなっている」と語った。
いわむら氏は絵を描くと同時に、それぞれの絵にふさわしい文章を考えて添えて行く。「この文を読んで読む人の気持ちが楽しくならないといけない。そのため、言葉を選ぶ時は、必ず大きな声で読んでみて、音楽と同じように楽しくなるリズムを探し出す」といわむら氏。いわむら氏は会場に集まった人々の前で「りんごがひとつ」の読み聞かせを行った。中国語ではなく、日本語による読み聞かせではあったが、りんごが「コロコロ」と転がる音やリンゴが熊さんにあたって止まる際の擬音語に加え、絵本を読む際の表情で幼い子供たちを大笑いかつ大喜びさせた。
主催者側は、「今年70歳を迎え、めったに家の外に出ないいわむら氏を中国に招き、絵本の読み聞かせもしてもらえたことは、非常に貴重な機会だった」としている。また、同日は日本の絵本作家を一目見ようと、子供たちを連れて多くの中国の読者が集まり、中には長距離列車に乗って他省からわざわざ会場に訪れる人もいたという。
いわむら氏は、今回の中国訪問で北京に5日間滞在し、中央美術学院や国家図書館、青少年閲読体験大世界などで講演や座談会、ファンミーティングなどのイベントを行う予定だ。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年9月17日