中国ベストセラー作家・余華、7年ぶりの新作が大不評
小説「活きる」や「兄弟」などで知られる中国の著名作家・余華(ユー・フア)氏が7年の歳月をかけて執筆した長編小説「第7天」(7日目)が現在多くの読者を引き付けている。しかし、これに反し、発売初日にはその出来について大きな議論が巻き起こった。ネット上には、「始めの数ページを読んで、中国版の『百年の孤独』(世界各国でベストセラーになったガブリエル・ガルシア=マルケス著の長編小説)かと思った。さらに読み進んでみると、ニュースの寄せ集めであることに気付いた。これは恐らく余華氏がデビューして以来、最もひどい出来の小説に違いない」などと不満の声が相次いでいる。「華西都市報」が伝えた。
さらに毒舌なのは、現在非常に評判が悪いにもかかわらず大ヒットしている劉徳華(アンディ・ラウ)や林志玲(リン・チーリン)主演の映画「富春山居図」を持ち出し、小説版「富春山居図」だと称す人もいる。しかし、これに対して、批判する人々の意見を不可解だと反論する声も少なくなく、「すごくよく書かれている。文章もなめらかで、内容も共感できる。もしかして、あまりにも現実的で血みどろな内容なのが気に入らないのだろうか?」と疑問を呈している。
「第7天」の初版を手に入れたが、この小説の編集や構成は極めて簡潔で、序文もなければ、あとがきもない。余華氏自身が中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」で、「この小説は『旧約聖書・創世記』の序章の方式を借りて、ある人物が亡くなった後の7日間に経験したことを描いている」と書いている通りだ。
余華氏の求心力から、多くの読者が我先にとこの小説を買い求め一気に読み終えたようだが、多くの人が失望の声を上げている。「一気に読み終えたが、がっかり。知らない人は過去の雑誌や新聞の要約が本になったのかと思うのでは?」
著名作家の陳村(チェン・ツン)氏はさらに、「余華氏は読者から批判されることを恐れていない。『兄弟』がベストセラーとなったのは、まさに批判的な評論が押し上げたものだ」と指摘する。実際、このような評価を見た多くの人が、「そんなにひどいの?かえって見たくなった」という好奇心を示すコメントを残している。(編集MZ)
■余華(ユー・フア)のプロフィール
1960年生まれ。中国の著名な現代作家。代表作に、中・短編小説「十八歳出門遠行」、「鮮血梅花」、「一九八六年」、「古典愛情」などや、長編小説「在細雨中呼◆」、「活きる」、「許三観売血記」、「兄弟」などがある。また、散文、随筆、文論、音楽評論なども多く手掛けている。中国現代作家の中でも最も海外で翻訳されている作家の1人である。
*◆は口へんに咸
「人民網日本語版」2013年6月19日