イメージキャラクターの権利と責任　法的な整合性を

　先日、消費者権益保護法の修正草案第二稿が全国人民代表大会常任委員会の審議に提出された。この草案では、以下のことが強調されている。広告経営者、広告発表者の設計、製作、発表が、消費者の生命にかかわる健康関連グッズ、サービスで虚偽の記載をして、消費者に損害を与えた場合の経営者の連帯責任、同様に社会団体、その他の組織及び個人が、虚偽の広告で消費者に商品やサービスを勧めた場合の連帯責任である。これらの規定に対して、世論では芸能人のイメージキャラクターが虚偽広告をした場合にも責任負担をすべきで、もっと早くやるべきだとの声が上がっている。人民日報が報じた。

　長い間、氾濫する虚偽広告で一般の人々は深刻な被害を受けてきた。統計によれば、虚偽医療広告による誤った誘導などが原因で、中国では年間およそ250万人が誤った薬を服用している。この中には芸能人の助長によるものがある。当時、多くの有名映画女優がキャラクターを務めていた日本の化粧品SK-IIから使用禁止成分が検出され、2人の女優がキャラクターを務めた三鹿粉ミルクは検査に不合格、ある漫才師は保険食品、薬品など10種類もの虚偽広告のキャラクターを務めていた。虚偽広告は派手に演じるほど、一度世の中に出てしまったら回収は不可能だ。

　権利があれば義務が生じ、権利と義務は対等なもの。これは法律が公正である所だ。一部の芸能人が広告のイメージキャラクターを務めれば、名前は売れ、金儲けもできる。これは彼らの権利だが、虚偽のキャラクターを請け負ったことによる責任や自分が犯した過失の補てんという義務は引き受けなければならない。どのような有名人であれ、請け負った責任は明らかに一般人よりも大きいのだ。先進国の多くでは有名人が医薬品のキャラクターを務める場合、厳しい規制が敷かれている。英国では、医薬品の広告について社会的に有名な人物が医薬品を推奨してはならないことになっている。さらに有名人は直接キャラクターとなって広告することは許されていない。米国の規定では、イメージキャラクターは「広告証言」と「担保の明示」が必要で、証言が真実でなければならず偽りがあってはならない。偽りの場合は、法廷で偽証した場合と同等の罪に問われ罰せられる。このようにして初めてイメージキャラクターは利益の誘惑によって自分を牢獄におとしめることにならないように慎重にキャラクターを務めるようになるのだ。

　中国の芸能人の多くは「人気」を借りて利益を優先し信義を忘れており、イメージキャラクター広告を手っ取り早く収入を得る蓄財手段としてしまっている。大衆を誤った方向に誘導し、消費者に物質的、精神的、身体的に何重もの損害を与えている。その堕落からはなかなか抜けがたい。金銭の奴隷になり、金ばかりを追い求めて良心を失うだけでなく、公共の道徳心や職業倫理に背いている。この根本的な原因は、有効な法的制約がなく、長い間法律の監督外に置かれていたことにある。中国の刑法第222条には、「広告主、広告経営者、広告公布者が国の規定に違反し、広告を利用して商品あるいはサービスに関する虚偽の宣伝をし、その情状が重大である場合には、2年以下の有期懲役あるいは拘留、並びに罰金、あるいは罰金刑に処す」と規定されている。広告法にも、主に広告主、広告発表者、経営者は、芸能人のイメージキャラクターの虚偽広告に対する責任は何ら明確に規定していない。高額な収入を受けても法的な規制は受けず、広告1本で高額収入が得られるならば、ふざけて悪質なビジネスのキャラクターを務めるものも出てくるだろう。

　芸能人を広告活動の主体の一つにして、責任追及の範囲に入れるよう法改正すべきとの声がずっと前からあった。もし、消費者権益保護法の改正で、芸能人のイメージキャラクターと経営者がともに連帯責任を取る法律が組み入れられれば、民衆も歓迎するだろう。当然、広告法と刑法は法規の統一性を図るうえで、適時、適正な改正が必要となる。（編集EW）

　「人民網日本語版」2013年9月4日