上映回数シェアで決まる国産映画のヒットの行方 (2)
映画市場のアナリストである朱氏は、「長期的な経済発展を経て、国内の映画ファンの嗜好も変化してきており、以前のように皆がそろって壮大な大作を追いかけるわけではなくなった。また、自分の生活と関わりのあるテーマにより興味を持つようになり、これが物語を描くことに長けた国産の小・中規模製作の映画の人気が高まってきた要因となっている」と語る。
■映画業界:様々な資本が低予算映画に流れ込む
小・中規模製作の映画が大ヒットしたり、比較的高い評価を得ていることで、ますます多くのホットマネーがこのジャンルの映画に流れ込んでいる。大手不動産会社の恒大不動産を例にあげると、今年投資した映画で公開されたものは、周傑倫(ジェイ・チョウ)監督作の「天台愛情」(The Rooftop)や「時光恋人」(Timeless Love)、さらに今後公開される中国・フランス合作映画の「画框中的女人」(Lady In The Portrait)だ。
これについて業界で長く働いている関係者は、「国産映画は長年停滞が続いていたが、この2年程で多くのヒット作が生まれていることや、世論や宣伝によって、簡単に大儲けできる業界だと考えられており、各方面から資本が集まっている」としながらも、「実際には映画業界は投資するには非常にリスクが高い業界だ」と指摘する。公開された某データによると、中国のテレビ・映画プロジェクトは現時点で全体の20-30%の投資が元本割れを生じているほか、40-50%の投資が元本は戻ってきても利益は生じておらず、わずか約20%の投資しか利益を得ていないという。
中投顧問文化業界研究員の沈哲彦氏は自身の分析結果から、「国内の各方面の資本が低予算映画への投資に集まるのは、小さな投資で大きく儲けたいからだが、低予算映画の大部分は市場の注意を喚起することが困難で、映画館でほぼ観客が入らないという状況が圧倒的多数を占めていると指摘する。「ごくわずかの比較的話題性が高い低予算映画だけが他の圧倒的多数の中から頭角を現すことができる。低予算映画がある程度ヒットするためには、宣伝面での突破や工夫が必要だ」と語る。