自閉症者に働く場所を提供する雲南省のカフェ
バリスタの多多さん(23)は、自閉症の患者で、5分で1杯のコーヒーを淹れることを、2年間かけて学んだ。
多多さんの働き先は、雲南省昆明市初の自閉症や脳性麻痺の患者、知的障害者やその家族にコーヒーを淹れる方法などを学んだり、働いたりする機会を無料で提供するカフェ「初星珈琲屋」だ。太和街道(エリア)の社区(コミュニティ)活動ステーションは2019年から、公益組織と提携して、このカフェを経営している。
大きな一歩を踏み出すサポート
中度の自閉症と診断されている多多さんは、言語障害を抱え、雑音に敏感に反応してしまう。
「義務教育を9年受けた後、行く場所がなくなってしまった」と話す多多さんの母親・李愛萍さんは、息子の将来を心配し、勇気を出して、一歩を踏み出した。
そして、2021年、多多さんは「初星珈琲屋」の最初の受講申込者となった。
「初星珈琲屋」の創業者である符欣さんは、「成人となった自閉症患者には行き場がなく、家に閉じこもるようになり、結果的に身体機能が低下してしまう」と指摘する。
符欣さんはバリスタ2人と共に、コーヒーメーカーのスイッチの入れ方から始め、コーヒーの淹れ方を、多多さんに手取り足取り教えていった。
マニュアル化された一連のステップを何度も繰り返す多多さんは、音に敏感であるため、客がコーヒーを飲みに来ると、機嫌が悪くなってしまうという。それでも符欣さんは、「多多は真面目でストイック。他の多くのバリスタと比べても、上手なくらい」と、その長所に目を向ける。
ここ3年の間に、17-37歳までの50人が「初星珈琲屋」でコーヒーの淹れ方などを学んできた。符欣さんは、1日のスケジュールをうまく調整して、1人が45分はコーヒーの淹れ方を練習できるよう時間を確保している。このようにして13人のバリスタを「輩出」してきた。45分の間に、多い人で7杯、少ない人でも3杯のコーヒーを淹れることができるという。
「無職」だった自閉症患者が働くようになるまで
多多さんは毎朝、母親に付き添われて「初星珈琲屋」にやって来る。
そして、コーヒーメーカーのスイッチを入れ、クリーニングなどを終えた後、自分と母親のコーヒーを淹れ、そして道路側の席に座って往来する車を見る。
多多さんの勤務時間は午前10時頃から午後1時までで、「息子は少しずつ受け入れ、変化している」と話す母親の李愛萍さんの目も少しずつ輝きを取り戻している。時々、息子と手をつないで道路に近い場所に立つようにもしている。「息子は周りの騒音に徐々に慣れてきた。そして、仕事も友達もできて、規則正しい生活ができるようになった」と喜んでいる。
「初星珈琲屋」の場所は太和街道が無料で提供し、経営には7家族が参加し、1人当たりの勤務時間は3-4時間となっている。そして、保護者たちが話し合って、1人当たり10元(1元は約21.1円)の「日給」を支給し、残りは運営費に当てている。
符欣さんは、「精神的に安定し、自分の価値を感じることができるようになるなど、コーヒーが彼らに満足感を与えている」と、やりがいを感じ、充実感に浸る。
そして、「自閉症は1回か2回何かをしたからといって治るものではく、長期的な視野が必要。まず、彼らが一歩を踏み出し、その後も歩き続けることができるようサポートし続けなければならない」とした。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年10月9日
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