湖北省十堰市で「和して同ぜず」という中国伝統の精神を学ぶ外国人たち

人民網日本語版 2024年08月29日11:02

8月10日、十堰市の白馬山天馬峰の頂上で、中国の伝統楽器「洞簫」や「竹笛」の練習をするアイルランド人のエレンさん(写真左)とポーランド人のダリウスさん(写真右)。

8月10日、十堰市の白馬山天馬峰の頂上で、中国の伝統楽器「洞簫」や「竹笛」の練習をするアイルランド人のエレンさん(写真左)とポーランド人のダリウスさん(写真右)。

今年に入り、中国の144時間のトランジットビザ免除政策が継続的に最適化され、中国に旅行に来る外国人がますます増えている。最新統計データによると、今年1-7月期、中国全土の各出入国検査所から入国した外国人の数は前年同期比129.9%増の延べ1725万4000人に達した。湖北省の武漢天河国際空港の出入国検査所から入国した外国人は約5万人で、前年同期の4倍となった。これらを背景に、「city不city?(cityかどうか?の意、「不」の読み方は「bu」)」といった中国語と英語をミックスさせたフレーズがネット上で人気を集めている。湖北日報が報じた。

8月10日、白馬山天馬峰で、武当剣法の練習をする英国人のローラさん。

8月10日、白馬山天馬峰で、武当剣法の練習をする英国人のローラさん。

なかには、中国の伝統文化に魅了され、湖北省十堰市の白馬山天馬峰で道士の杜師匠と共に、文化のルーツ捜しの旅を楽しむ外国人もいる。

天馬峰は武当山の72峰の一つ。2005年から現在に至るまで毎年、会社役員や映画スターなど、さまざまな業界の何百人もの外国人が訪れている。アイルランド人男性のエレンさんは流暢な中国語で、「ここでは中国カンフーの練習ができるほか、中医学の理論と知識を学んだり、中国の伝統楽器に触れたりすることができ、中国の伝統文化をじっくりと体験できる。行ったり来たりを繰り返しながら、この山で過ごすようになって、7年以上になる」と話す。

8月19日早朝、白馬山天馬峰で、太陽に向かい、呼吸を整え、新鮮な空気を吸いなからウォーミングアップする外国人たち。

8月19日早朝、白馬山天馬峰で、太陽に向かい、呼吸を整え、新鮮な空気を吸いなからウォーミングアップする外国人たち。

8月9日早朝5時、まだ薄暗く、もやが天馬峰を覆う中、森林からは人の気配を感じさせる音が聞こえてきた。5時50分頃、もやがかかる林に、日光が差し込むと、エレンさんと他の様々な国からやって来た外国人6人は、朝日に向かい、呼吸を整え、新鮮な空気を吸い、ウォーミングアップをしていた。ここから彼らの中国の伝統文化を体験する15日間の生活が始まった。

午前8時、標高約1000メートルの天馬峰の頂上で、英国で暮らすロシア人のローラさんは、キラキラと光る剣を手に、時には力強く、時には華麗な動きを見せていた。

8月19日午前、白馬山天馬峰で、薬草の見分け方について、杜師匠のレクチャーを受け、中医学の知識を学ぶ外国人。

8月19日午前、白馬山天馬峰で、薬草の見分け方について、杜師匠のレクチャーを受け、中医学の知識を学ぶ外国人。

ロンドンでコンサルティング会社を経営しているローラさんは、子供の頃から喘息と副鼻腔炎に悩まされて、症状を和らげるために9歳の時から中国カンフーを習い始めた。それがきっかけで少しずつ中国文化に魅了されるようになったという。そんなローラさんは2013年、ロンドンで中医学養生館の経営を始めた。そこには毎年、中医学で体の調子を整える功法を学ぼうと、英国人が数多くやって来る。中国文化に魅了されているローラさんが天馬峰に来たのは今回で2回目なのだという。

8月19日、白馬山天馬峰の頂上の石の上に立ち、眼前に雲海が広がる中、中国の伝統楽器「洞簫」の練習をするポーランド人のダリウスさん。

8月19日、白馬山天馬峰の頂上の石の上に立ち、眼前に雲海が広がる中、中国の伝統楽器「洞簫」の練習をするポーランド人のダリウスさん。

エレンさんは、「中国の伝統文化は、『和して同ぜず』という精神を強調し、対抗するという考え方は強調していない。そのような内容が異なり、性質の相反するものでもすべて受け入れる広い心は、今の社会において非常に貴重になっている。多くの外国人がこうした包容力ある精神に感動しており、私もその一人」と話す。

8月19日早朝、白馬山天馬峰の頂上で、朝日に向かってカンフーの練習をする外国人たち。

8月19日早朝、白馬山天馬峰の頂上で、朝日に向かってカンフーの練習をする外国人たち。

「多くの西洋人は、物質的には富んでいるものの、精神的には虚しさを感じている」と話すエレンさんは、心身ともに疲れ切っていた2011年、初めて天馬峰を訪れ、何年も「修行の旅」をしているうちに少しずつ、精神的疲労から解放されるようになったという。

8月19日、中医学の伝統的な温熱療法「火療」の練習をするフランス人のエンジェルさん。

8月19日、中医学の伝統的な温熱療法「火療」の練習をするフランス人のエンジェルさん。

自国で仕事などをしているため、天馬峰を「バケーション先」と見なし、1年に一度やって来る外国人がほとんどだ。そのような外国人にとって「天馬峰」はまさに生活の一部となっている。また帰国後、仕事の方向性を変えた外国人もいるという。例えば、元々ソフトウェアエンジニアだったポルトガル人のバスコさんは帰国後、ヘルスケアスクールの経営を始めた。また、ドイツ人のヨハネさんは、出版社の経営を始め、中華伝統文化の名作を外国語に翻訳している。

杜師匠は、「これは前向きな循環だ。一人でも多くの外国人が中国の『和して同ぜず』という文化理念を学び、そこから益を受けることを願っている」としている。(編集KN)

「人民網日本語版」2024年8月29日

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