中国の若者の間でメンタル関連の商品・サービスが人気になっているワケは?
幸運を求めて「ラッキースプレー」を購入し、気持ちが塞いでいる時は「樹洞」サービスを購入して、うっぷんを晴らすなど、中国の市場では今、情緒的価値の高い商品がどんどん増え、売り上げを伸ばしている。
北京の大学に通う趙さんは取材に対して、「期末テスト前に、『ラッキースプレー』を買って、試験会場に入る前に、寮の同じ部屋の4人全員にスプレーした。『ラッキースプレー』は、00後(2000年以降生まれ)の間で流行している。みんな、これは普通の衣類用の芳香スプレーであることは分かっているものの、スプレーすると運が良くなるような気がして、自信がつく」と話す。
何かの役に立つわけではないものの、ユニークな商品を購入する人も少なくない。例えば、新社会人は自分のデスクなどに、財をもたらす神とされる「財神」のキャラクターを飾り、楽しく仕事ができるようにしている。また、ストレス解消のためにモチモチ感あるスクイーズ玩具を購入する人もおり、ショッピングサイト「天猫」では、その検索回数が前年同期比で125%以上増となっている。
ネット上で愚痴を聞いてくれる人を探したり、オフラインイベントで心の癒しを得ようとしたりする人もいる。例えば、話し相手になってくれる「樹洞」サービスを利用すると、チャットや音声通話を通して、自分の悩みを聞いてもらったり、アドバイスしてもらったりして、ストレスを解消することができる。
では、どんな人が情緒的価値の高い商品やサービスを購入・利用しているのだろう?世界的なコンサルティング大手の米マッキンゼー・アンド・カンパニーが発表した「2024年中国消費動向調査研究」によると、消費者の64%がメンタル関連の消費を重視しており、特に若者がそれを重視している。ショッピングサイト・淘宝のショップ経営者によると、情緒的価値の高い商品やサービスを購入・利用しているのは主に若者だ。
若者の間でメンタル関連の商品が人気になっているワケは?
「仕事のストレスを解消するため」というのが、若者がメンタル関連の商品やサービスを購入・利用する理由の一つとなっている。例えば、上海に住む女性・劉さんは、「約1000元(1元は約21.9円)使って、仕事場のデスクを飾ったので、気分良く仕事ができている。例えば、カラーのキーボードを使っているほか、観葉植物はきれいな花に変えた。また、オーダーメイドのテーブルクロスを使い、大切にしている飾り物も並べている」と話す。
癒しや励ましを得たいというのも若者がメンタル関連の商品やサービスを購入・利用する理由の一つだ。勉強や仕事、恋愛、結婚といった面でプレッシャーを抱える若者は、慰めと励ましを必要としているのだ。
専門家は、「『メンタル経済』は、『悦己(自己の満足感や幸福感を追求する消費行動)経済』ということができるものの、自分にエールを送ったり、話し相手を求めたりして、最終的に心理的満足感を得るというのがその本質で、その点ではかわいい服やコスメ商品を買うことととは異なる」との見方を示している。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年6月21日
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