セルビアのファッションデザイナーが中国のモバイル決済を体験
中国は今年3月、「決済サービスの最適化と支払いの利便性向上に関する意見」を発表し、サービスを最適化して、支払いの利便性を高め、高齢者や訪中外国人といった人々の決済サービスをめぐるさまざまなニーズを満たすことができるよう取り組んでいる。では、訪中外国人にとって実際に決済サービスは使いやすくなっているのだろうか?第3回潮汕国際紡績・衣類博覧会に参加するためにセルビアから訪中したファッションデザイナーのデビッド・ヴァン・デ・カンプさんの決済サービスの利用体験を取材した。
【3月27日午後3時 ホテルにチェックイン】
デビッドさんは、3月28日から30日にかけて広東省の汕頭博覧センターで開催された第3回潮汕国際紡績・衣類衣類博覧会に参加するため、今回訪中した。
3月27日、デビッドさんは汕頭市のホテルに到着すると、セルビアで作ったマスターカードをスタッフに渡し、信用照会端末に金額を入力した後、サインをして支払いを済ませ、チェックインの手続きを終わらせた。その手続きにかかった時間はわずか数分だった。デビッドさんは、「中国語はほとんど話せないが、チェックイン手続きはとてもスムーズだった。ホテルのフロントにパスポートを渡すと、スタッフが慣れた手つきで手続きをしてくれた」と話していた。
ホテルの責任者は、「昨年7月に海外発行のクレジットカードにも対応できる信用照会端末を導入し、マスターカードやVISAカードなどが使えるようになった。宿泊料金は当日の為替レートに基づいて決済される」と説明する。
セーターのデザインと生産をするアパレルブランドを経営しているデビッドさんは今回、汕頭で開催される博覧会で、より質の優れた原材料を見つけたいと話す。繊維製品・衣類産業は、汕頭が強みを誇る特色ある産業で、年間18億5500万点もの商品が世界に輸出されている。約40キロの範囲に、川上・川下の関連企業1万社以上が集まっており、デビッドさんは、「それらを見て回って、デザインのインスピレーションを探したい」とした。
スマホでQRコードをスキャンして支払いをするデビッドさん(撮影・陳陽)。
【3月27日午後7時半 タクシーで移動】
デビッドさんは、ホテルで少し休んだ後、街に出かけた。「セルビアでの支払い方法は、主にデビット付きキャッシュカードか現金。中国ではアプリを使って便利に支払いができるので、スマホだけ持って外出することができる。中国の携帯番号を取得した後、微信(WeChat)アカウントを作成し、セルビアのデビット付きキャッシュカードを紐づけしておいたので、WeChatペイでそのまま支払いができる。紐づけは簡単で、指示通りに操作し、パスポートの写真をアップし、審査をクリアすれば使えるようになる」とデビッドさん。
デビッドさんは、タクシー配車アプリを使ってタクシーに乗り、汕頭小公園歴史文化街区に到着。下車後、料金は自動的にアカウントから引き落とされた。デビッドさんは、「事前に、支払いの際のパスワード入力を省けるように設定しておいたので、タクシーの料金を払う時にスマホを操作する必要はない。引き落とし額は、中国のキャッシュカードに記録されている。セルビアで作ったキャッシュカードを使って、銀行のATMで人民元を引き出すと、手数料が必要になるので、中国の銀行のキャッシュカードを使っておいた。セルビアのキャッシュカードで現金を引き出すのも便利だけど、スマホを使って決済をするようになってからは、現金を使うことが減った。わざわざ現金を引き出しに行くことはほとんどなくなった」と話す。
【3月27日午後8時 街でショッピング】
デビッドさんは、汕頭金平万達広場にある衣料品店に入り、服のデザインや材料をじっくりと観察していた。「どこにいっても、まず現地の衣料品店に行って、その地域の人々のスタイルや好みをチェックするようにしている。ここの服の原材料は質がとてもいい。ほとんどがウール100%などの天然素材で、デザインも実用性を重視している」とデビッドさん。
美味しそうなものや、面白そうなものを見かけると、デビッドさんはすぐに足を止めて買い求め、スマホを取り出し、QRコードを使ってスムーズに支払いを済ませていった。そして、「店舗の場合、そのほとんどが店側が私のQRコードをスキャンして決済を済ませた。一方、街中の露店で買い物をした時は、私が店のQRコードをスキャンするのがほとんどだった。全体的に見て、支払い方法の選択肢が多く、中国での生活はとても便利だと思う」とした。
汕頭市の衣料品店の服を見るデビッドさん(撮影・陳陽)。
中国の各大手銀行や決済機関は最近、訪中外国人が決済の際に直面するハードルを取り払う措置を次々と発表している。例えば、3月14日、中国人民銀行は、訪中外国人に各種決済サービスの利用に必要な手続きや使い方の流れを説明する中国語と英語版のガイドブックを発表した。
中国では現在、海外で発行したクレジットカードが使えるホテルも増えており、訪中外国人が各種手続きを行える場所も急増している。今後はより多くの外国人が、スマホを操作して、クレジットカードなどと紐付けしたり、タクシーに乗ったり、ホテルを利用したり、入場券を買ったりといった中国での便利な暮らしを体験できるようになるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年4月16日
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