中国の宇宙ステーション、骨粗鬆症の研究を推進へ

人民網日本語版 2024年01月18日14:43

宇宙貨物船「天舟7号」が17日夜、文昌航天発射場から打ち上げられ、中国の宇宙ステーションに新たな科学実験サンプルを送り届ける。宇宙ステーションの常態化運営に伴い、「天舟7号」は宇宙船内・船外の既存の実験施設向けに、10ヶ所の研究所と8校の大学によるより多くの科学実験プロジェクトを送っており、宇宙ステーションに送った科学実験プロジェクトが過去最多の天舟貨物船となった。中国新聞網が伝えた。

中国有人宇宙飛行宇宙応用システム宇宙貨物船ミッション全体チーフデザイナーの劉偉氏は、「宇宙応用システムは天舟7号により中国の宇宙ステーションに計61件、総重量約473kgの応用物資を届ける。これには宇宙生命科学、宇宙材料科学、微小重力流体物理、燃焼科学などの33種の科学実験が含まれ、宇宙ステーションの軌道上での実験の連続的な実施をサポートする」と述べた。

これらの応用物資は宇宙ステーションに届けられると、軌道上の宇宙飛行士によって対応する実験装置に設置され、実験に用いられる。劉氏によると、一部の実験結果はリアルタイムで地上に伝送でき、一部の実験サンプルは宇宙飛行士によって地上に持ち帰られ、さらなる研究が行われる。

数多くの実験サンプルのうち、細胞実験サンプルという特殊な「乗客」がある。中国科学院上海技術物理研究所の研究員である張濤氏は、「これらの細胞は温度、気体、栄養液の供給などの生存環境に対する要求が非常に高い。科学研究チームは細胞の健康を維持するため、天舟貨物船内に細胞サンプルの『専用席』である細胞宇宙生命維持装置を用意した。同装置は電子レンジ約1.5台分のサイズで、2つの引き出しが配置され、それぞれ5つの標準ユニットが設置されている。すべてのユニットに細胞を培養する2つの細胞室がある。装置とユニットは細胞の生存環境に対する個性化需要に対して、温度、二酸化炭素濃度、栄養補給などの条件を調節し、細胞に快適な移動環境を提供できる」と述べた。

この装置が「護送」するうちの実験サンプルのMSC(間葉系幹細胞)は、浙江大学生命科学学院の余路陽教授のチームが作成したもので、宇宙における骨粗鬆症の研究に用いられる。余氏は、「研究によると、人間は宇宙で骨粗鬆が加速する。チームはMSCの宇宙微小重力環境における生体信号の変化と干渉のターゲットを見つけることで、これらのターゲットに的を絞った薬品または干渉手段を開発することを望む」と述べた。

浙江大学生命科学学院の王金福教授は、「宇宙飛行士の骨粗鬆と地上の高齢者の骨質の変化の間には相似性がある。人間の宇宙における骨質変化の研究は、宇宙飛行士の軌道上での健康維持に対して重要な意義を持つだけでなく、地上の高齢者の骨粗鬆症の予防・治療に対しても重要な参考価値を持つ」と述べた。

同チームがMSCを宇宙ステーションに送り込むのは今回で2回目。チームはこれまで天舟5号に積載された実験サンプルを利用し、すでに初期的な研究成果を出している。浙江大学生命科学学院の呉夢瑞研究員によると、この細胞の発現遺伝子は宇宙でメチル化するが、これはDNAに帽子を被せるのに似ている。帽子で隠れた部分の遺伝子は表出・転写されなくなる。これは細胞分化の「運命」に重要な影響を及ぼす。(編集YF)

「人民網日本語版」2024年1月18日

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