「墨子」サーベイ望遠鏡、地球近傍小惑星第1弾を発見
中国科学院紫金山天文台と中国科学技術大学天文・宇宙科学学院がこのほど発表した情報によると、「墨子」サーベイ望遠鏡が新たに発見した2個の地球近傍小惑星「2023 WX1」と「2023 WB2」がこのほど国際天文学連合小惑星センターによって確認された。これは「墨子」サーベイ望遠鏡が発見した地球近傍小惑星の第1弾となった。人民日報海外版が伝えた。
「墨子」サーベイ望遠鏡。画像提供は新華社
北半球時間領域におけるサーベイ能力が最高の設備として、今年9月17日に正式に使用開始された「墨子」サーベイ望遠鏡は高いサーベイ能力を示し、太陽系小天体、特に地球近傍天体の捜索とモニタリング・研究の基礎を固めた。
この2個の地球近傍小惑星はいずれも11月18日に初めて観測された。うち小惑星「2023 WX1」の地球最小軌道交差距離は0.0461AUで、直径は約170mと見られる。これは潜在的に危険な小惑星(PHA)だ。
人類が現在まで発見した小惑星は100万個以上で、その圧倒的多数が火星と木星の間に位置する。また軌道が地球に近いものもあり、地球近傍小惑星と呼ばれ、現在まで2万7000個以上が見つかっている。
中国月探査プロジェクトチーフデザイナーで、中国工程院院士の呉偉仁氏は、「中国の深宇宙探査は今後15年にわたり初の地球近傍小惑星防御任務を遂行する。地球近傍小惑星が地球に衝突するという極めて低確率だが深刻な危害をもたらす出来事に焦点を当て、数千万km離れた1個の小惑星に動的衝撃を与え、それを偏向させる。そして、衝撃の効果を軌道上で評価する」と述べた。
高いサーベイ能力は「墨子」サーベイ望遠鏡が地球近傍小惑星を発見できる重要な原因だ。いわゆるサーベイとは、すべての観測可能なエリアを区分し一つずつ観測を行うことだ。「墨子」サーベイ望遠鏡は宇宙の重複スキャン観測を行い、大量の画像観測データを取得できる。画像を比較することにより、天球上を移動する太陽系の天体を観測し、輝度が変化する天体や超新星のような爆発を発見できる。
「墨子」サーベイ望遠鏡が初めて取得したアンドロメダ銀河の画像。画像提供は新華社
「墨子」サーベイ望遠鏡は青海省海西蒙古(モンゴル)族蔵(チベット)族自治州の冷湖鎮賽什騰山に位置し、標高は約4200m。現地は観測条件が優れ、光害が極めて少なく、シーイング(望遠鏡の画像の解像度)の中間値は0.75秒角。世界最良の設置先の同期のデータとほぼ同等で、チリ北部の山間部や、南極内陸アイスドーム地域の一流光学観測拠点に匹敵できる。同時に「墨子」サーベイ望遠鏡は2025年に使用開始される予定の、南半球に位置するNSFヴェラ・C・ルービン天文台とサーベイエリアの相互補完をなし、全時間領域のモニタリングを実現する。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年12月13日
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