日喀則40m口径電波望遠鏡が着工
中国科学院上海天文台が筆頭になり建設する西蔵(チベット)自治区日喀則(シガツェ)市の40m口径電波望遠鏡が15日、正式に着工した。同望遠鏡は中国の既存の超長基線電波干渉法(VLBI)ネットワークの配置及び観測能力をさらに高め、中国の月探査及び深宇宙探査任務の実施に力強いサポートを提供することになる。新華社が伝えた。
上海天文台の沈志強台長は、「月探査及び深宇宙探査任務の順調な実施には、宇宙船のリアルタイムの正確な軌道測定と測位が必要だ。月探査衛星の嫦娥1号以降、中国の一連の月探査及び深宇宙探査任務は距離・速度測定+VLBIの新型軌道測定体制を採用し、これまでの任務の順調な実施を力強く保証した」と述べた。
中国の既存のVLBIネットワークは北京密雲、新疆烏魯木斉(ウルムチ)、雲南昆明、上海佘山の4ヶ所の観測ステーション及び上海VLBIデータ処理センター(「4ステーション1センター」)からなり、宇宙船の軌道測定の分解能は1mに達し、遅延は約1分内に抑えられる。その観測能力は世界トップレベルに達している。
中国の月探査及び深宇宙探査活動の急発展の需要を満たすため、中国は西蔵日喀則と吉林長白山でそれぞれ1基の40m口径電波望遠鏡を建設する。
沈氏は、「VLBI技術そのものの特徴により、望遠鏡間の距離が開くほど複数の望遠鏡による共同観測の感度と空間分解能が高くなる。日喀則と長白山の望遠鏡は完成後、中国の既存のVLBIネットワークの配置を効果的に改善することにより、観測能力がさらに強化される。中国はそれにより6ステーション1センターの双子ネットワークVLBIネットワークを形成し、同時に2隻の宇宙船を正確に観測できるようになる」と述べた。
日喀則40m口径電波望遠鏡は大型全可動高精度多用途電波望遠鏡で、将来的に8台の周波帯冷却受信機を配備し、1-100GHzの観測能力を備える計画だ。日喀則の建設先の標高は約4100mで、大気が乾燥し晴れる日が多く、人がめったに訪れず電磁波の干渉が少なく、望遠鏡に絶好の観測環境を提供している。
月探査及び深宇宙探査の軌道測定任務を担う他にも、日喀則40m口径電波望遠鏡は中国の電波天文科学研究能力を高め、科学者が超大質量ブラックホール、コンパクト天体の高速時間変動及び重力波電磁対応物、銀河系動力学研究などの分野でより多くの革新的な成果を上げるよう後押しする。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年9月19日
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