熱帯雨林国家公園の建設を支えるデジタル技術

人民網日本語版 2023年11月24日11:09

海南熱帯雨林国家公園で、森林警備員は希少植物の写真を撮影すると直ちに伝送し、スマート雨林ビッグデータセンタープラットフォームに保存する。カワセミが水面をかすめ、テナガザルが林の中で飛び回る。これらの林の中を移動する動物の姿も遠隔監視システムによって、リアルタイムで記録・表示されている。人民日報が伝えた。

2019年に海南熱帯雨林国家公園の試行が始まると、海南省はスマート化生態管理・保護の新モデルの構築に取り組んだ。海南熱帯雨林国家公園管理局は、省級スマート管理センターを建設し、スマート雨林ビッグデータプラットフォームを構築。同時に海南熱帯雨林国家公園「天空地」一体化総合モニタリングシステムプロジェクトを計画している。これにより日常的な巡回保護や動物保護、資源モニタリングがよりスマートになりつつある。

にわか雨が上がると、海南熱帯雨林国家公園鸚哥嶺片区の森林警備員である符恵全さんと隊員たちは前進を続けた。水を観測し、草木を守り、写真を撮影し、記録し、データをアップした。同時に彼らの足跡も携帯アプリ「海南護林員」の3D地図に表示された。符さんは、「装備品がグレードアップし、巡回保護がより安全で効率的になった」としている。

「海南護林員」はスマート巡回保護アプリだ。森林警備員はこれを使って観測ポイントのマーキングと撮影を行うと、スマート雨林ビッグデータセンタープラットフォームはリアルタイムでこれらのデータを受信する。符さんは、「鸚哥嶺片区では、隊員1人あたりの巡回保護面積は約4000ムーにのぼる」とするが、これも「海南護林員」アプリを使えば自分の巡回保護の担当範囲の状態をひと目で把握することができるという。

符さんによると、10数年前ならば巡回に携帯する装備と言えば、刀とコンパス、そして旧式タイプのカメラだけだった。しかし現在は衛星測位装置やドローン、赤外線カメラなどの装備を携帯するようになっている。雨林片区全体を観察する必要がある場合や人が到達しにくいエリアの観測を行う場合、彼らはドローンを使用する。また救援が必要であったり、火災や病虫害などを確認した場合には、彼らは現場の写真もしくは映像をスマート雨林ビッグデータセンタープラットフォームに伝送するか、直接プラットフォームにオンラインで相談し、助けを求めるのだという。

海南熱帯雨林国家公園管理局スマート雨林プロジェクトの職員である何聡さんによると、スマート巡回保護アプリの機能は近年たびたびアップデートが繰り返されてきたという。森林警備員の使用率は現在ほぼ100%となっており、巡回保護活動の規範化と情報化が持続的に促進されている。

海南テナガザルは世界で最も絶滅が危ぶまれている霊長類の一つで、海南熱帯雨林国家公園覇王嶺片区はその唯一の生息地となっている。覇王嶺監視指揮センターのディスプレイには、2頭の海南テナガザルが林の中で追いかけ、飛び跳ねる様子が映し出され、カメラはその姿を追っていた。

360度パノラマカメラが海南テナガザルの活動状況を自動で撮影し、リアルタイムで伝送することによって、数十キロメートル離れた監視員は指を動かすだけでその一挙手一投足を観測できる。これは国家公園の設立後、覇王嶺片区の最も直観的な管理手段の変化の一つだ。

2021年にスマート雨林プロジェクトが始まると、覇王嶺片区と吊羅山片区に設置された105台の要所監視カメラや、約35キロメートルにもなる振動光ケーブル、数百台の赤外線熱感知触発カメラなどの設備が、縦横に交錯し死角を残さない「電子フェンス」を構築した。

「野生動物は人を警戒し、行き先も一定ではない。巡回保護人員が現地で巡回保護とモニタリングを行うだけでは、得られる情報が少なく、保護の効果も限定的だ」とする覇王嶺分局宣教科普情報センターの韓文涛副主任によると、「電子フェンス」により監視エリア内の24時間のモニタリングを徐々に実現しつつあり、それにより野生動物の雨林での自由な生活を守ることができるようになっている。

覇王嶺片区の計320台の赤外線熱感知触発カメラは、主に野生動物の痕跡が多い中心エリアに設置されている。人工施設の野生動物への影響を減らすため、すべての監視施設が木のようにカムフラージュされている。カメラの赤外線モジュールが海南テナガザルなどの野生動物の痕跡を感知すると、スマートカメラが24時間連続でエリアの画像を収集する。そしてデータの分析と処理を経て、効果的な画像を分類し、バックグラウンドプラットフォームにアップする。

要所監視カメラと振動光ファイバーは、中心エリアと一般制御エリアの境界の重要な箇所に設置されている。国家公園中心エリアへの侵入を試みる無許可の人や車両をけん制するためだ。

「電子フェンスの導入後、無許可の人が保護区に違法侵入するような状況が効果的にコントロールされるようになった」とする海南熱帯雨林国家公園管理局の王楠副局長によると、デジタル技術のサポートにより、海南テナガザルの個体群は6グループ37頭にまで回復したという。また2019年より54の新種が発見されている。さらにミズオオトカゲなどの何年も発見されていなかった絶滅危惧の固有種が雨林で再び確認されるようになっている。(編集YF)

「人民網日本語版」2023年11月24日

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