陝西省の延安と楡林にトキを導入する試験が開始

人民網日本語版 2023年10月12日14:20

陝西省林業局が11日に明らかにしたところによると、トキを陝西省の延安市と楡林市に導入する試験が10日、延安市宝塔区南泥湾国有生態林場盤竜管理保護ステーションと楡林市横山区白界鎮黒峁墩村で同時に始まった。陝西省が陝北地域でトキの人工飼育・繁殖及び野生復帰・放鳥の試験を実施するのは初めてとなる。中国新聞網が伝えた。

南泥湾の「新居」で休憩する陝西漢中トキ国家級自然保護区管理局のトキ。画像提供は陝西省林業局

南泥湾の「新居」で休憩する陝西漢中トキ国家級自然保護区管理局のトキ。画像提供は陝西省林業局

試験拠点では、陝西漢中トキ国家級自然保護区管理局から運ばれてきた20羽のトキと、秦嶺ジャイアントパンダ研究センターから運ばれてきた20羽のトキが、それぞれ南泥湾と横山トキ人工飼育・繁殖及び野生復帰・放鳥試験拠点の新居に「入居」した。トキ提供側及び受け入れ側はトキ保護管理協定書に署名した。双方はトキの保護とPR、飼育管理、技術サポート、科学研究、トキの野生復帰・放鳥などの取り組みを約束した。

中国科学院動物研究所の鳥類専門家の劉蔭増氏は、「トキは今回北上し、秦嶺山脈を越え、長江流域から黄河流域に導入することで、徐々にトキの移動の習慣を取り戻させ、寒冷地での生存に適応する能力を育む。北方地域のトキ再導入の道筋を模索し、経験を蓄積する。これはまた中国のトキ個体群再構築が新たな段階を迎えることをも示している。延安と楡林は歴史的にトキが分布していた。今回のトキ北上はトキ保護の新たなブレイクスルーと試みであり、トキの歴史的な分布を再現する重要な模索でもある」と述べた。

横山の「新居」をしげしげと眺める秦嶺ジャイアントパンダ研究センターのトキ。画像提供は陝西省林業局

横山の「新居」を歩き回る秦嶺ジャイアントパンダ研究センターのトキ。画像提供は陝西省林業局

延安市と楡林市はここ数年、生態保護・修復を持続的に強化し、「三北」(西北、華北、東北)防護林体系建設プロジェクト、「退耕還林」(耕地を森林に戻す)、天然林保護、湿地回復などの生態保護プロジェクトを持続的に実施している。両地域の生態環境は大幅に改善され、トキの野外生存の条件を満たし、トキの歴史的な分布の再現の基本的な条件を備えている。

南泥湾プロジェクト周辺の人工湿地は、沼、水田、ダム・池が中心だ。南泥湾国家湿地公園に近い生態修復河川、干潟、沼は33.3ヘクタール以上で、トキの巣作りと生息に有利な条件を提供している。冬は九竜泉を利用し一定面積の冬季餌場を作り、そして人工的に餌やりをする。横山プロジェクトは横山区の無定河流域に位置し、生態環境が美しく、気候が湿潤だ。「砂漠・湿地・稲田・森林」複合生態系をほぼ構築している。666.7ヘクタールほどに上る稲カニ(エビ)田及び河川湿地が多くの水生生物を育んでいる上、無定河は冬に凍結せず、毎年多くの水鳥がここで羽を休める。2ヶ所のプロジェクトエリアはいずれも、トキに豊富な餌と生息環境を提供できる。(編集YF)

「人民網日本語版」2023年10月12日

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