投薬できるシルク製のマイクロニードル 大産業を形成する中国のシルク機能性繊維

人民網日本語版 2023年08月18日09:11

中国の繊維シルク業界で唯一の国家工学実験室である蘇州大学現代シルク国家工学実験室は、シルクタンパク医療機器の研究開発の任務を担当するだけでなく、大分子シルクタンパクの年間10トンの大量生産も実現した。科技日報が伝えた。

注射や薬を飲むことなく、肌に貼るだけで薬が皮下血管を通じ患部に直接届く……シルクタンパクスマートマイクロニードル経皮吸収システムはまさに驚異的だ。

蘇州大学の盧神州教授は、「シルクでマイクロニードルを作り、シルクタンパクが持つ精製しやすく分解でき、天然由来、無毒で免疫原性がないといった特徴を利用し、経皮吸収を実現した。シルクは主にセリシンとシルクタンパクからなり、人体にやさしく、マイクロニードルを作るための理想的な材料だ」と述べた。

「まずシルクタンパクを溶液にし、構造調整によりマイクロスケールの型に注ぎ乾燥させるとマイクロニードルができる」。盧氏は、「0.5平方センチメートルのパッチに225本のマイクロニードルがあり、1ミリグラム以上の薬品を投薬でき、絆創膏を貼るようにシンプルだ。マイクロニードルが短く細く、神経と血管に触れることがないから、痛みを伴わない投薬を実現している。またシルクタンパク凝集状態の効果的なコントロールを通じ、薬の徐放を実現した」と説明した。

シルクは軽さ、柔らかさ、細さを一体化した天然繊維で、ハイテクにより生地を作るという従来の用途をとうに超えており、ヘルスケアやスマート感知などの分野における広い応用の見通しを示している。

蘇州大学現代シルク国家工学実験室の方剣教授が開発したスマート繊維材料は、柔軟性繊維とセンサーを一つに合わせ、人の呼吸、心拍数、運動の幅を正確にモニタリングできる。李氏が開発した医療用シルク縫合線にはシルクタンパクの薬物送達技術が採用されている。長期的かつ効果的な抗菌・抗炎症を実現でき、各種外科手術に広く応用されている。

国際競争の重点分野としての先進的な機能性繊維は、繊維材料産業体制における中核的な地位を占め、重要な価値がある。バイオ繊維は循環利用できるグリーンな繊維で、繊維産業の発展方向でもある。バイオPTT繊維技術はこれまで海外に独占されていた。蘇州大学現代シルク国家工学実験室と共同建設機関が開発した独自の知的財産権を持つバイオPTTポリエステルファイバーの総合的生産技術により、中国は完全な産業チェーンを持つバイオ繊維生産国になった。PTT繊維及び複合繊維の生産能力は現在すでに50万トンに達している。

同実験室は近年、世界の科学技術の最先端に目を向け、繊維材料分野で業界の10数件の重要な技術的難題を克服し、50件の技術成果と200件余りの特許を取得し、中国の現代シルク産業の最も重要な技術開発プラットフォームとイノベーション拠点の一つになった。(編集YF)

「人民網日本語版」2023年8月18日

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