中国、サウジアラビア、イランの3ヶ国が10日夜に発表した共同声明に、世界中のメディアが注目した。中東のこの2つの主要な大国が、2ヶ月以内に大使館を互いに開設し、外交関係を正常化することとなった。両国は中国側の積極的な仲介の下で和解に達し、この過程で中国は非常に重要な役割を果たした。
■着実で実務的な行動
中国国際問題研究院国際戦略研究所の蘇暁暉副所長によると、3ヶ国による共同声明発表は唐突のように見えるが、実際には努力を重ねた結果だ。中国は一貫して中東の平和的発展を支持し、責任ある大国としての役割を果たしてきた。秦剛外交部長(外相)は7日、全国両会(全国人民代表大会・中国人民政治協商会議全国委員会)の記者会見で、中国が引き続き正義を主張し、中東諸国が対話と協議を通じて紛争問題を政治的に解決することを支持することに言及した。中国は中東諸国の同地域における主人としての地位を完全に尊重し、いわゆる「真空」を埋めようとすることも、排他的な小集団を作ることもしないとした。
サウジアラビア・イラン北京協議は3月6日から10日まで続いた。秦部長の記者会見時に、両国の協議がすでに北京で始まっていたのは明らかだ。中国側は最終的な成果が出るまで仲介について宣伝せず、着実で実務的な取り組みの姿勢を示した。
■グローバル安全保障イニシアティブの成功した実践
サウジアラビアとイランは中東の主要な大国だが、歴史的問題、地政学的問題など一連の複雑な要因のために長い間対立し、「中東の宿敵」と呼ばれてきた。前回の両国の断交は2016年で、その後7年間、各国が仲介に努力してきたが、具体的な進展はないままだった。このことから、両国の外交関係の正常化が困難で貴重なものであり、中東地域の平和と安全にも重大な影響をもたらすことが分かる。これは対話の勝利、平和の勝利であり、グローバル安全保障イニシアティブの成功した実践でもある。
2022年4月21日、習近平国家主席はボアオ・アジアフォーラム年次総会の開幕式で行った基調演説で、グローバル安全保障イニシアティブを初めて打ち出した。3ヶ国の共同声明からは、その少なからぬ部分がグローバル安全保障イニシアティブと一致することが見て取れる。例えば、サウジアラビアとイランによる北京での協議は、対話と外交的方法を通じて双方間の溝を解消するためであり、協議においては国連憲章、イスラム協力機構憲章の趣旨と原則及び国際的な規則と慣例を遵守し、双方は各国の主権の尊重、他国の内政への不干渉で合意した。
■なぜ中国だったか
蘇暁暉氏によると、これには大きな原因が2つある。第1に、中国は「正しい義利観」を堅持し、国際問題への仲介において自国の利益を持ち込まず、各国の友好的な付き合いのために心から努力している。近年、アフリカや中東、さらに他の地域の紛争問題のいずれにおいても、そうした姿勢で取り組んできた。そのため、中国側の努力を信頼し、認める国々が増えており、こうした国々は中国側の誠意を感じ取っている。
次に、中国の提唱する安全保障観がゼロサムゲームを排除していることだ。1国の安全が他国の安全を犠牲にすることを前提条件としてはならず、他国を威嚇しても自国に安全をもたらすことはできない。全ての国々が安全であって初めて、真の安全となる。中東などの長年にわたる発展の歴史も、この点を証明している。従って、今回のサウジアラビアとイランの外交関係の正常化は、中国外交の理念の勝利とも言え、中国の提唱する安全保障観が確かに国際紛争解決の有効な手段だと気づく国々が増えていることを物語っている。
■米国との鮮明なコントラスト
中国が和平交渉の促進を続ける中、米国は依然として制裁を続けている。現地時間3月10日、ホワイトハウスの発表した声明によると、バイデン大統領はイランに対して発動した「国際緊急経済権力法案」の実施を1年延長して、「米国の国家安全保障、外交政策、経済に対するイランの持続的な脅威に対処」するとともに、イランに対する全面的な制裁の実施を維持することを発表した。米国政府が依然として制裁と徒党を組むことに夢中になっているのは明らかだ。米国による対イラン制裁は40年以上に及ぶが、両国間の問題の真の解決にはならず、中東に平和ももたらしていないことは事実がとうに証明している。米国の対イラン制裁がもたらしたのは衝突と対抗のみだ。制裁を続けても、打開策にはならないだろう。
■紛争問題の解決に模範的意義を示す
王毅中共中央政治局委員(中央外事活動委員会弁公室主任)は今回の協議の重要な意義について語った際、「問題がどれほど複雑で、挑戦が困難に満ちていようとも、相互尊重の精神で平等に対話を推し進めれば、必ずや互いに受け入れ可能な解決策を探し出すことができる。我々は引き続き各国の意向に基づき、現代世界の紛争問題の適切な処理のために建設的な役割を果たし、大国としての責任感を示す」と述べた。
今回の中国、サウジアラビア、イランの協議が積極的な成果を収め、紛争問題解決の典型的な事例となったことは疑いの余地がない。つまり、和平交渉を堅持し、対話を始め、対話を続け、相互信頼と共通認識を強化し続ければ、必ずや成果を生むことができるということだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2023年3月14日