7日から8日にかけて、インドネシア・バリ島でG20外相会合が開催される。中国からは王毅国務委員兼外交部長(外相)が出席する。王部長のオフラインでのG20外相会合出席は新型コロナウイルス感染症が始まって以降、初めてとなる。
分析によると、現在、世界は新型コロナとの闘いと経済回復の正念場にあり、多分野での危機が重なり合い、特にロシア・ウクライナ紛争以降、世界的なインフレや食糧危機などが激化したことで、グローバル・ガバナンスの重要なプラットフォームとしてのG20の意義が一層浮き彫りになっている。
また、G20外相会合の会期中に行う二国間会談も注目される。王部長はG20外相会合の会期中に、ブリンケン米国務長官と会談する。中米関係において、競争が制御不能に陥らず、前向きな協力が行われるようにするための「フェンス」をいかに設置するかも、広く注目される。
■「回復」と「安定」がテーマに
中国現代国際関係研究院の傅夢孜副院長は「G20は回復や安定といったキーワードをテーマに掲げているが、これは現在世界の平和と発展が直面する深いレベルの試練と密接に関係する。第1に、新型コロナウイルス感染症がまだ終息していないことで、経済の持続可能な回復は不確実性を増している。第2に、ロシア・ウクライナ紛争のエスカレート後、米国とその同盟国がロシアに対して発動した極端な制裁が、国際的な食糧・エネルギー価格に多大な打撃を与え、世界のサプライチェーンの安定性問題を深刻化させている。第3に、米国の大幅な金融引き締めが世界中に影響を及ぼす可能性があり、米国経済および世界経済の減速への懸念が外部に生じている。このため複数の分野で危機が重なり合い、共振する中、今年のG20関連会合はとりわけ重要なものとなる」と指摘。
「現在最も必要なのは、経済政策面の広範な国際協調であり、成長促進という強いコンセンサスを形成し、発信することだ。これは今年下半期の経済回復の見通しに関わってくる。G7やBRICSといった複数の枠組みの構成国を含むG20は、先進国と発展途上国が意見交換し、協力し、共同で試練に対処するための重要な機会となっている」とする。
■「小集団」政治による妨害に警戒
傅氏は「ロシア・ウクライナ紛争をめぐり構成国間には見解の相違があることから、G20の亀裂を懸念する声が外部に生じているが、G20の広範な代表性とグローバル・ガバナンスの有効性は、依然として各国から認められ、頼られている。このため、このプラットフォームは依然として保たれている」と指摘する。
だが警戒すべきは、一部の国が、閉鎖的で排他的な「小集団」政治をG20の枠組みに持ち込もうと企てていることだ。これは経済ガバナンスの範疇を超えたパワー・ポリティクスの産物であり、普遍性がない。ましてや国際経済・金融協力を武器化する手法は、G20のガバナンスの能力と効率を損なうものであり、本来の機能に集中するうえでマイナスだ。
■注目される中米外相会談
多国間会合という点以外で最も注目されるのは、中米外相会談だろう。
傅副院長は「国際情勢が深く変化する中で、中国と米国が意思疎通を保つことは、外交的成熟の表れであると同時に、二国間関係の処理における前向きな行動であり、溝を管理・コントロールし、守るべき一線をしっかりと保つうえでプラスだ。同時に、国際的・多国間協力の強調というG20の大きな環境の下で、中国と米国は共に協力の余地を見出すことができる」と指摘する。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年7月7日