「天問1号」周回機と火星が収まった画像。(画像提供は国家航天局)
中国初の火星探査任務の「天問1号」探査機が2021年5月15日、火星着陸に成功し、初めて火星に中国の足跡を残した。火星探査車「祝融号」は現在まで、火星北部低地のユートピア平原で1年以上にわたり累計2000メートル近く走行し、大量の貴重な科学探査データを取得している。天問1号は火星探査の1年でどのような収穫があったのだろうか。近い将来、中国の深宇宙探査はどこまで進むのだろうか。
■祝融号 連続的に稼働したが、現在は「冬眠中」
中国国家航天局がこのほど発表した情報によると、天問1号が火星に着陸してから1年にわたり、祝融号はすでに火星表面で356火星日稼働し、累計1921メートルを走行している。周回機は打ち上げられてからすでに661日飛行しており、火星周回軌道に入った後に持続的にリモートセンシング探査を行っている。火星探査車と周回機は現在コンディションが良好で、生データを累計で約940GB取得し、それを伝送している。
専門家によると、祝融号の巡視エリアは現在すでに冬に入っており、日中の最高気温がマイナス20℃以下に、夜間の最低気温がマイナス100℃に下がる。また所在エリアは現在、強い砂嵐に見舞われている。
設計プランと飛行制御プランに基づき、祝融号は5月18日にスリープモードに入った。今年12月前後に環境条件が好転した後、正常な活動を再開する予定だ。
■探査の成果 水の活動兆候を発見
天問1号の火星着陸と祝融号の火星走行から1年以上にわたり、中国国家航天局はすでに天問1号の科学探査データを10回発表している。科学者は探査データの研究を通じ、新たな科学的発見と科学研究の成果を次々と発表している。
中国科学院はこのほど、「中国科学院宇宙科学センターの劉洋氏のチームは地質年代が比較的若い火星着陸エリアで、岩化した板状の堅い層を発見した。水を含む硫酸塩などの鉱物が豊富に含まれており、その形成プロセスは地下水の波動と関係している可能性がある」との研究成果を発表した。
火星はどのようにして「海の惑星」から「砂漠の惑星」に変わったのだろうか。火星水環境変化プロセスは、火星研究の重要な内容の一つだ。この発見は火星の気候環境の変化の歴史の理解にとって重要な意義を持つ。
火星探査車「祝融号」(左)と着陸プラットフォームが収まった画像。(画像提供は国家航天局)
■惑星探査 将来的に小惑星の探査とサンプル採取を実施
「中国の宇宙2021」白書によると、中国は今後5年間で引き続き惑星探査プロジェクトを実施し、小惑星探査機を打ち上げ、地球近傍小惑星のサンプル採取、火星のサンプルリターンなどのキーテクノロジーの研究開発を行う。
計画によると、中国はさらに天問2号、天問3号、天問4号などの任務を実施する。中国航天科技集団第五研究院によると、天問2号探査機はすでに試作品の研究・製造段階に入っており、任務のペースが上がっている。
中国工程院院士で、中国月探査チーフデザイナーの呉偉仁氏は、「中国は将来さらに太陽系のその他の惑星付近を通過し、探査を行う。例えば金星や地球の脅威となる地球近傍小惑星の探査を行い、その早期警戒、防御、処置などを実現する」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年5月26日