中国人民政治協商会議(全国政協)の委員を務める中国科学院院士で、清華大学教授の欧陽明高氏はこのほど、「水素エネルギー産業発展中長期計画(2021-35年)」について解説し、「中国内外の主要な燃料電池メーカーの製品の試験データに基づくと、今後10年で燃料電池のコストは大幅に低下し、性能の安定性が向上することが予想される」との見方を示した。中国新聞網が伝えた。
欧陽氏によると、「双炭(ダブル炭素、二酸化炭素<CO2>排出量ピークアウトとカーボンニュートラル)」の目標を実現するには、再生可能エネルギーの大規模な発展を推進しなければならない。再生可能エネルギーの主要な媒体は電気と水素であり、動力とエネルギー貯蔵の面で相互補完性があり、特に水素はゼロカーボンの工業原料として、代替不可能性という特徴を備える。
再生可能エネルギー発電設備容量が拡大を続けるのに伴って、効率の問題がコストの問題に転化することができる。欧陽氏の率いるチームは国務院から建設を承認された張家口再生可能エネルギーモデル区で、再生可能エネルギーによる水素生産から末端の応用までをカバーする総合チェーンのプロジェクト検証作業を試験的に行い、再生可能エネルギー発電での電力価格が1キロワット毎時0.15元(1元は約19.0円)以下になれば、再生可能エネルギーによる水素生産の経済性が保障されるとの結論を得た。そのため、再生可能エネルギーによる水素生産はグリーン・低炭素の発展ルートを進む上で必然的な選択肢になるという。
同「計画」は、「2025年に燃料電池車の保有台数を5万台にし、再生可能エネルギーによる水素生産量を年間10万-20万トンにする」との発展目標を打ち出した。欧陽氏は、「量について言えば、再生可能エネルギーによる水素生産量は燃料電池車の需要を十分にまかなえる。品質について言えば、再生可能エネルギー発電で生産された電解水素は純度が高く、燃料電池が水素に求める純度の高さという要求に応えることができ、水素ステーション、水素貯蔵ボトル、燃料電池における腐食や中毒などの問題を完全に回避することが可能だ」と述べた。
中国のバッテリー電気自動車(BEV)が誕生から質の高い発展へと至った道のりと比べると、中国の燃料電池車産業はBEV産業より10年ほど発展が遅れており、今はまだ製品の導入期にあり、応用コストが急速に低下する成長期に入りつつある。欧陽氏は、「中国内外の主要な燃料電池メーカーの製品の試験データに基づくと、今後10年で燃料電池のコストは大幅に低下し、性能の安定性が向上することが予想される」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年3月24日