世界の主要な農産物輸出国としてのロシアとウクライナの紛争が続いて、国際穀物市場に「突風」が吹き荒れ、多くの国の人々が食料品価格上昇の圧力に直面している。中国新聞網が伝えた。
小麦などの農産物価格が高騰 国際穀物安全は「弱り目に祟り目」
ロシアとウクライナは世界の「穀物袋」を握る2大農産物輸出大国で、両国の間で紛争が起きたことで、国際穀物市場はまるで「爆弾」が投下されたような状況になった。17日の原稿執筆時点で、米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では小麦の連続注文の価格が1ブッシェル(約27.2キログラム)当たり10.57ドル(約1258円)に達した。2月17日の価格と比べて、小麦先物価格は累計32.6%値上がりしたことになる。
米ゴールドマン・サックスがこのほど、「ロシア・ウクライナ紛争と西側諸国のロシアに対する制裁措置により、黒海エリアからの供給が妨げられ、穀物価格がさらに上昇することは確実だ。水上輸送の中断、買い入れコストの急増、ウクライナの次の作付けシーズンへの懸念などから、世界の穀物市場が1970年代以降で最も深刻な打撃を受けることは間違いない」との見方を示した。
現在、世界の約50ヶ国がロシアとウクライナからの輸入によって小麦供給の30%以上をまかなっている。その多くは北アフリカ、アジア、中東エリアの後発開発途上国または低所得で穀物が不足する国だ。こうした国では穀物安全保障が非常に厳しい状況を迎えている。多くの欧州・中央アジアの国は肥料供給の50%以上をロシアから輸入しており、供給不足は来年まで続く可能性がある。
国際連合世界食糧計画(WFP)は、「2022年は災害レベルの飢餓が起こる年になり、38ヶ国の4400万人が飢饉のボーダーラインをさまようことになる」と警告を発した。
世界が「食糧防衛戦」をスタート 多くの国で食料品価格上昇
多くの国の政府が「食糧危機」を回避するために措置を取り、自国内の農産物の供給を優先的に保障しようとしている。
ブルームバーグ社によると、ハンガリーは現在、食糧の輸出を禁止している。アルゼンチンとトルコも自国産農産物に対するコントロールを強化する措置を取った。アルゼンチンは世界の主要な穀物輸出国の1つであり、トルコは主要な小麦粉輸出国だ。モルドバも今月から小麦、トウモロコシ、砂糖の輸出を一時的に停止している。
ロイター通信の報道によれば、ウクライナが「年内は大麦、砂糖、肉類を含む多くの農産物の輸出を禁止する」と発表し、ロシアも「6月30日までは近隣のユーラシア経済連合(EAEU)加盟国への小麦、ライ麦、大麦、トウモロコシの輸出を禁止する」としている。
一部の国が目下、国際市場からの穀物の買い入れを進めている。ロイター通信によれば、日本の農林水産省(MAFF)は現在、定期的な入札を通じて米国、カナダ、オーストラリアから合計10万4483トンの食用小麦を購入しつつあるという。
複数の国の政府は穀物輸出管理のコントロールを行うする方法を次々に取って、自国内の食糧安全保障をはかるが、多くの国の国民はすでに食料品の値上がりに不安を感じている。
フィリピンのマニラCBD(中心業務地区)マカティビジネス圏で最大規模の生活スーパーの価格管理部門はこのほど、「うちのスーパーでよく売れる主な小麦製品は価格が軒並み上昇しており、上昇幅が最も大きいのはパスタ製品だ」と明かした。
オーストラリアの大手缶詰メーカーのSPCのロバート・ジャイルズ最高経営責任者(CEO)は、「オーストラリアの主要食料品約100種類は最大で20%の値上がりという打撃を受けた。その中にはベイクド・ビーンズやパスタの缶詰が含まれる。今回の『危機』では、発展途上国の受ける打撃が最も深刻になるだろう」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年3月18日