一定の金額を払えば、最短で30分間、最長で1年間の「恋愛」ができる。今年に入ってから、有料の感情体験型サービス「VR(仮想現実)恋人」が各種インターネットプラットフォームに登場し、多くの若者が利用している。「VR恋人」は今や、多くの青年が熱中するネット消費の1つの方向性だ。「半月談」が伝えた。
「VR恋人」を扱う店舗の大半が今年上半期以降に開設されたものだが、相当の売り上げを達成している。一部の商品をクリックして様子を見てみると、1ヶ月あたりの売り上げ数がのべ1千回ほどのものが多く、最も多いものではのべ7千回を超えていた。
ネット通販プラットフォームだけでなく、百度貼吧、知乎、小紅書といった若者に人気のプラットフォームでも「VR恋人」の広告が大量に流れる。広告がうたうサービス内容を見ると、一緒にいておしゃべりをする、一日だけ恋人になる、一緒に遊ぶ・ゲームをする、やさしく寝かしつける、宿題の代行をするなどがあり、現在の若者のニーズに合致している。文字や音声通話などの方法で消費者に寄り添ってサービスを提供する場合、費用は時間の長さ、サービスの中身、サービス提供者のランクによって決まり、1時間あたり20元(1元は約16.0円)から360元とさまざまで、月決めにした場合の費用は最高で1万元にも達する。
業者によると、「顧客には、生活のストレスが大きく、話す相手がいないので、『VR恋人』を購入し、寄り添ってもらうという人が多い。中には、気持ち塞いでいたが、『VR恋人』を購入したら気分がかなりすっきりしたという人もいる」という。
寄り添いサービスを提供するのは主に大学生だ。その一人、今年19歳になる林さん(仮名)は大学の1年生で、この仕事を始めて2ヶ月になる。彼が取材に対して答えたところによると、「自分と同じ『VR恋人』の店で働くスタッフはみんな大学生で、全部で約60人くらいいる。この仕事でお金を貯めて、欲しいものを買いたい。先月は400元稼いだ」という。
「VR恋人」の人気の背後には、多くの若いネットユーザーが「社交不安障害」と「孤独感」という2つのキーワードと切り離せないと考えていることがある。
広州大学社会学部の李双龍准教授は、「現代の若者が、特に大学生が愛情を追い求めるのは人間にとって当たり前のことだが、希望をすべてVRの世界に託してはならないと理解してほしい。愛情の本質を考えると、消費者とVR恋人との間にあるのは、一種の短期的なビジネスの関係や金銭で結ばれた関係であって、感情のつながりではない」と述べた。
浙江大学報道学部の沈愛国学部長は、「若者がストレスを理性的に発散するよう指導し、シングルの青年が『VR恋人』の本質をはっきり見るようにし、若者が仮想の社会と現実の社会をはっきり区別するようにすべきだ。『デジタルネイティブ』である今の若者は、仮想と現実の境界が曖昧になりやすく、認知バイアスが起こりやすく、ひいては『VR恋人』などの仮想の社交的行為に対して依存心が生じやすい」との見方を示した。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年12月10日