数日前、企業家の居黛霞さんは海外の顧客に謝罪のメールを送り、近く輸出されるはずだった生産ライン設備について、「契約に違反」せざるを得なくなったことをわびた。新華社が伝えた。
居さん(39歳)は江蘇省淮安市金湖県にある江蘇金衛機械設備有限公司の社長で、同社は生理用品、紙おむつ、マスクなど使い捨ての家庭用紙製品の生産設備を主に手がける。製造した設備のうち85%が輸出され、輸出先は100ヶ国・地域を超える。
新型コロナウィルスの感染による肺炎の感染が拡大すると、海外で家族と休日を楽しんでいた居さんのところに、中国のマスクメーカー30社以上からSOSの電話がかかってきた。「生産ラインが足りない、生産能力を早急に拡大しなければならない」という。
居さんと夫の陳斌さんは正月6日目(1月30日)の帰国便に変更し、予定より早く帰国して業務を再開し、海外からの注文をすべてストップして、中国国内のマスク工場向け生産ラインの製造に専念することにした。
マスク生産ラインの工場出荷価格は45万元(1元は約15.7円)を上回ることはないが、紙おむつ生産ラインは単価が700万元ほどになる。居さんは、「顧客は一般的に紙おむつの生産ラインを注文するときに、ついでにマスクの生産ラインも注文する。スーパーで野菜を買うついでガムを買うようなものだ」とたとえた。
居さんは、「実は600万ドル分以上の紙おむつや生理用品の生産ラインをまだ納品していない。元々の予定では3ヶ月以内に完成するはずだった。海外のお客様には、引渡しを1ヶ月は延ばしてほしかったが、外国の方は契約を重視するので、腹を立てるのではないか、契約違反と言われるのではないかと考え、それでも仕方がないと思っていた。ところが思いがけないことに、お客様は理解してくれただけでなく、私の健康のことまで気遣ってくれた」と振り返った。
現在、居さんの工場では作業員たちがわずか5日で15本から20本のマスク生産ラインを製造しており、業務再開後に製造された20本は2月10日に全国各地に送られる予定だ。政府の調整を受けて、居さんは必要な原材料をスムーズに調達できており、今あるストックで120本のラインを製造できるという。
居さんは心の中でずっと製造できるマスクの数を数えていたといい、「1本の生産ラインで1分間に医療用マスクを80枚から100枚製造できる。第一弾のライン20本で一日に120万枚から140万枚のマスクを製造できるようになる。これらのラインが稼働して、各地の深刻なマスク不足が解消されることを願う」と述べた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年2月7日