王毅外交部長がカンボジアを日帰り訪問 伝統的友情を再確認
中国の王毅外交部長(外相)は21日、カンボジアを日帰り訪問して、フン・セン首相、ハオ・ナムホン外相と会談し、両国関係の発展や関心を共有する国際問題について意見交換した。現地中国語紙「柬華日報」は21日「中国外相の今回の訪問はカンボジアの総選挙が終わったばかりで、新政権がまだ発足しない過渡期に行なわれた。中国高官の来訪についてアナリストは、両国の包括的・戦略的協力パートナーシップの深化に加え、カンボジアの安定維持に役割を発揮し、次期国会と次期政権が順調に発足するよう二大政党の平和的話し合いによる問題の解決を促すことを望んでのものでもあると指摘する」と報じた。環球時報が伝えた。
今年は両国の国交樹立55周年ならびに友好年。王部長は21日の記者会見で「中国とカンボジアは良き友人、良き隣人、良きパートナーだ。中国はカンボジアとの友好協力関係を一層強化し、カンボジア社会・経済の発展を引き続き支持し、外部の妨害を阻止する」と表明。ハオ・ナムホン外相は、月末に北京で開催されるASEAN―中国外相会議に出席し、ASEANと中国との戦略的パートナーシップを一段と強化する考えを表明した。王部長はカンボジア人民党の総選挙勝利を祝福するとともに、総選挙の結果をめぐる争いを平和的に解決するよう関係政党に求めた。フン・セン首相の指導する人民党は7月末の第5回総選挙で野党に僅差で勝ち、新たな任期を獲得した。だが選挙結果に不正疑惑が浮上。野党は選挙結果の受け入れを拒絶して、国際社会による調査を呼びかけている。カンボジアの国家選挙管理委員会は17日、「確実な証拠」を欠くとして、野党の調査要求を却下した。
厦門(アモイ)大学南洋研究院の庄国土院長は21日、環球時報の取材に「王部長の今回のカンボジア訪問は、ある意味において中国とカンボジアの伝統的友情、両国民の世々代々の友好がシアヌーク時代から現在まで変わらぬことを再確認するものだ。フン・セン首相は中国人民の古くからの友人、良き友人であり、フン・セン首相が困難の中にあった時代、中国側は支援を続けた。今回の総選挙でフン・セン首相は疑惑に直面しており、比較的敏感な時期にある。このため王部長の訪問は現政権を肯定する意味合いが多少ある。だが中国は自らの原則を堅持し、他国の内政に干渉することなく、積極的な役割を建設的に発揮する」と指摘した。
王部長の訪問は南中国海情勢とも関係があると考えられている。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは21日付で「中国外相による今回の14時間の慌ただしい訪問は、米国がアジア太平洋地域への関心を強める中、東南アジアにおける要の盟友であるカンボジアとの関係を強化する狙いがある」と指摘。「中国にとってカンボジアは長年来、東南アジアにおける最も重要な同盟国であり、過去20年間に30億ドル相当の開発援助を行なってきた。カンボジアにとっても中国は最大の外資投資国、重要な貿易相手国だ。カンボジアメディアによると、中国政府はカンボジア税関などの通関効率を高め、密輸取締り能力を強化するため、19日に大型車載コンテナ検査設備4台も寄贈した。両国は2012年に包括的・戦略的パートナーシップを構築して以来、様々な分野で深いレベルの協力と交流を繰り広げてきた」と報じた。
庄氏は「周辺の問題は中国の利益に関わる。中国は周辺の問題においてしかるべき、積極的な役割を発揮すべきだ。来月中国とASEANは『南中国海における行動規範』について新たな協議を行なう。これに先立ち王部長が東南アジア各国を訪問したことは、中国がより多くの国々との外交的協議を通じて共通認識を形成し、地域の安定を守ろうと努めていることを示しており、中国の積極的、主導的な姿勢の表れだ」と指摘した。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年8月22日