武漢の科学研究チーム、レンコン繊維のボーンプレートを開発

人民網日本語版 2025年03月06日10:36

中国国産アニメ映画「哪吒之魔童閙海(ナーザの魔童大暴れ)」の中で、太乙真人がレンコンを使い哪吒と敖丙の「肉体を再構築」するシーンは不思議で興味深く、印象的だった。湖北日報が伝えた。

今、科学技術の力により、神話が現実になろうとしている。武漢軽工大学食品科学・工程学院の易陽教授のチームはレンコンを原料に、カスタマイズしたレンコン線維のボーンプレートを作成し、骨細胞の増殖を促進する技術を開発した。関連技術はすでに動物実験の段階に入っていることが4日、同大学への取材で分かった。

科学研究実験について議論する易陽教授のチームメンバー。(撮影・張歆)

科学研究実験について議論する易陽教授のチームメンバー。(撮影・張歆)

チームメンバーで、同科学研究の責任者の江雪玉博士は、「骨細胞の増殖はツタの成長のようなものだ。断裂または破損した骨にカスタマイズしたボーンプレートを装着することで、骨折の部位に保護効果を発揮すると同時に骨細胞のボーンプレートに沿った増殖を促進し、最終的に骨の修復を実現する」と述べた。

レンコンを持つ江雪玉博士。(撮影・張歆)

レンコンを持つ江雪玉博士。(撮影・張歆)

骨細胞の増殖を実現するためには、ボーンプレートの材料に高い剛性(貯蔵弾性率10キロパスカル以上)が必要であると同時に一定の粘着性を兼ね備える必要がある。市販されているボーンプレートは通常、金属、セラミック、同種異系移植骨などの材料を採用している。手術の曝露面積が広く、免疫拒絶反応が深刻といった欠点がある。このほか、従来のボーンプレートは分解されにくいか、分解速度が新生骨の成長速度と一致しないといった問題がある。

易氏のチームの研究で、天然素材のレンコンは生分解性を持ち値段が安いといった利点があるものの、レンコン粉を直接用いて作成するボーンプレートでは剛性が足りないことが分かった。チームはレンコンを処理した後に3Dプリント技術を利用し、骨折の状況に基づきボーンプレートを作成しただけでなく、プリントにおいてレンコン繊維のボーンプレートの構造がより緻密になり、骨組織の再構築を促進するのに役立つ。

レンコンがボーンプレートの原材料になるのはなぜか。その他の山芋、ジャガイモ、里芋といった根茎類は代替材料となり得るのか。江氏によると、レンコンはデンプンやセルロースなどの巨大分子を豊富に含んでおり、剛性と一定の強靭性を兼ね備えるボーンプレートを作成することができる。またレンコンにはポリフェノールや多糖類などの活性成分が含まれており、抗炎症作用や抗酸化作用を持ち、細胞の成長を促進できる。

世界のレンコンの80%が中国で生産され、湖北省は中国のレンコンの里だ。易氏のチームはレンコンを十数年研究し、22年よりレンコンのバイオ医学分野への応用を試みている。

3Dプリントされた四角形のレンコンのボーンプレート。画像提供:科学研究チーム

3Dプリントされた四角形のレンコンのボーンプレート。画像提供:科学研究チーム

江氏は、「研究成果が臨床応用されるまでにはまだ時間がかかる。骨組織の再生過程において、レンコン繊維のボーンプレートも徐々に分解されるが、最も理想的な状況は、新生骨の成長速度とボーンプレートの分解速度が一致することだ。現在の研究は初期段階にあり、レンコン繊維のボーンプレートの生物体内における長期的な安全性などをさらに検証する必要がある。これらの作業は長い時間を要する。じっくりと科学研究と検証を積み重ねてはじめて、患者が安心して使用することができる」と述べた。(編集YF)

「人民網日本語版」2025年3月6日

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