中国のスーパー内に次々オープンしている「食堂」が引き出す消費の新原動力
北京市海淀区中関村のあるスーパー内に最近、「食堂」がオープンした。ランチタイムになると、トレイを手におかずを選ぶ多くの客でにぎわっている。同食堂の収容人数は最多で約100人となっている。人民日報が報じた。
客の楊娜さんはトレイの上に6-7種類のおかずを乗せ、「とてもリーズナブルな価格で、いろんな種類のおかずを食べることができ、栄養バランス的にも素晴らしいと思う。ビュッフェスタイルなので、おかずの選択肢も多く、単調な弁当を食べるよりヘルシーでおいしい」とした。
食堂は、このスーパーが打ち出した新たな業態で、現在昼食と夕食を提供している。ビュッフェスタイルで、麺料理やチャーハンなどの主食が13元(1元は約21.1円)、おかずが19.9元で、バラエティーに富む野菜料理、肉・魚料理、デザート、フルーツなどの中から、好きなものを選んで食べることができるようになっている。
食事の時間帯になると高齢者や子供、サラリーマン、学生などがたくさん食べに来ている。同スーパーの鍾暁英店長は、「当店は、中関村のオフィスビルが密集している場所にあるほか、周りには住宅区や大学などもある。スーパーの中に食堂を開設して、便利で手っ取り早く食事ができる新たな選択肢を客に提供しており、客からの評判も上々だ。特に、夏休み期間中は、子供を連れて来る保護者がたくさんいた」と説明する。
食堂の厨房を取材すると、自動調理器や食洗機などが完備されており、カット済みの食材や調味料を調理器の中に入れて、しばらく待てば、おかずが出来上がる。自動化設備が導入されているため、効率が良く、その場で調理するためヘルシーでおいしいというのがこの食堂の強みとなっている。
スーパーの中に食堂を開設するというのは、スーパーの多業態展開という新たな試みとなっており、実店舗のモデル転換と高度化という流れに乗る形となっている。鍾店長は、「スーパーを経営しているので、野菜や肉類のサプライチェーンという面では強みがある。サプライヤーを厳選し、毎日、新鮮なカット済み野菜を使っている。前日のスーパーの売れ残りを使うことは絶対にしない。安心できる食材を提供することで、売れ行きも伸びている」と話す。
同スーパーは今年6月から食堂を試験的に運営し始め、現時点で、1日当たり延べ600—1000人が利用している。最近、デリバリーも試験的に始め、1日当たり平均約120件のオーダーが入っているという。
鍾店長は、「食事をした後、ついでに日用品を購入する客もいる。当店の調査では、客の約67%がスーパーと食堂の両方を利用している。食堂が、スーパーの消費の新原動力を引き出す形となっている」と喜ぶ。
専門家は、現時点で、多くのスーパーが消費シーンの最適化に取り組んでおり、多業態展開を試みていると分析している。リーズナブルな食堂を経営するというのも、モデル転換と高度化を試みるスーパーの取り組みの一つだ。ファーストフードは、高頻度消費に属し、消費者はスーパーのファーストフードを利用することで、その他の商品、特にドリンクや酒類、お菓子といった関連商品の販売も促進される。また、ECプラットフォームが作りたてのファーストフードをその場で提供することは難しいため、商業施設・スーパーはその分野で差別化を図り、競争を展開することができる。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年10月10日
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