中・米など28ヶ国、世界初のAIガバナンス宣言に署名
普段は控えめなOpenAIの首席科学者であるイリヤ・スツケヴェル氏は最近、珍しくもメディアのロングインタビューに応じた。スツケヴェル氏はインタビューの中で、「現在最も懸念していることは、より新しくより高機能な基盤モデルの構築ではなく、未来に必ず現れる『スーパー人工知能(AI)』への対応だ」と明かした。イーロン・マスク氏や「AIの父」ことジェフリー・ヒントン氏らは、AIがもたらすリスクに備えるよう複数回注意を喚起していた。
スツケヴェル氏は、「AIは人間よりもずっと深く問題を理解する。人間は数千年も囲碁を指してきたが、理解している法則はAIより浅い。人間と同等の知能を持った汎用人工知能(AGI)が実現し、AIが囲碁のようにどの問題でも人間をリードすればどうなるかを想像してみるといい」と述べた。スツケヴェル氏の恩師であるヒントン氏も今年6月、北京智源人工知能大会に出席した際に、現場の観客に懸念を示した。そして「AIをなす人工ニューラルネットワークは人間の脳よりも知能が高くなる日がこれまでの自分の想像よりも遥かに早い」との見方を示した。
世界の主要国はこのほど、危機に対応するために英国でAI安全サミットを開催した。中国科学技術部(省)の呉朝暉副部長も招待に応じ、サミットの開幕式に出席し、講演を行った。中国や米国などの28ヶ国と欧州連合(EU)が共同で「ブレッチリー宣言」に署名し、AIモデルが人類の生存の脅威になる懸念に注目した。「人類がAIという新種の深刻な脅威に直面する中、世界は空前の団結を示した」と論じるメディアがあった。
第1回世界AI安全サミットが11月1日、英国のブレッチリーパークで開催された。開幕式では中国を含む28ヶ国が署名した「ブレッチリー宣言」が正式に発表された。これは世界初のAIガバナンス関連の共同宣言でもある。
新華社の報道によると、呉氏が開幕式で講演を行った。中国側は、「AIガバナンスは全人類の運命に関わり、世界各国が直面している共通の課題だ。AIの発展は人間本位と善への志向を積極的に提唱し、技術的なリスク管理を強化するとともに、相互尊重と平等・互恵の原則を踏まえ、各側が共にガバナンスに参加することを奨励し、発展途上国のAIグローバルガバナンスにおける代表性と発言権を高め、スマートとガバナンス能力の格差を持続的に埋める。中国側は各側と共にAI安全ガバナンスの意思疎通と交流を強化し、あまねく参加する国際メカニズムと広い共通認識を持つガバナンス枠組みの形成を推進するために積極的に知恵を貢献する。グローバル発展イニシアティブ、グローバル安全保障イニシアティブ、グローバル文明イニシアティブを確実に実行に移し、AI技術がより良く人類に福をもたらすよう促進し、共に人類運命共同体を構築する」とした。
英国科学・イノベーション・技術省の情報によると、同サミットは約100人の各国の政府関係者、AI企業代表者及び専門家を招いた。米国、中国、日本、ドイツ、インドなどの20数ヶ国の政府代表者及び国連、経済協力開発機構、国際電気通信連合など複数の国際機関の代表者が出席した。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年11月7日
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