【国際観察】米国の対中「デリスキング」自体が多大なリスク
「デカップリング」政策に続き、米国は最近、その同盟国と共に、いわゆる「中国の経済的威圧」への対策を口実に対中「デリスキング(リスク低減)」政策を打ち出した。しかし、米国の言うところの「デリスキング」は、それ自体が多大なリスクであり、米国が世界と米国自身に対して人為的に作り出した多大なリスクである。(文:羌建新・国際関係学院経済金融学院院長、教授)
「デリスキング」政策は、経済のグローバル化のプロセスと世界経済の将来性に深刻な打撃を与えるだろう。米国は「デリスキング」の名の下に、経済・貿易問題を政治化・イデオロギー化し、経済法則に深刻に背き、市場ルールと国際経済・貿易秩序を破壊している。「デリスキング」を他国の封じ込めと抑圧の口実とすることは、経済のグローバル化に多大な打撃を与え、世界経済ガバナンス体制の混乱を激化させ、グローバルな経済協力の根幹を浸食するだけでなく、人類全体の科学技術の進歩を遅滞させ、グローバルな産業・サプライチェーンの安定性を脅かし、世界市場の正常な運営を妨げることになる。
「デリスキング」政策は、米国自身の経済にも災いを及ぼす。米国は「デリスキング」の名の下に、実際には「デカップリング」を行うことで、米国企業の生産・経営コストを大幅に増加させるだけでなく、米国の産業競争力とイノベーション能力を弱めている。米国商工会議所(USCC)発表の報告書は、「デカップリング」が原因で、米国の投資家は年間250億ドル(1ドルは約143.3円)のキャピタルゲインを失う可能性があり、その結果、米国の国内総生産(GDP)は5000億ドルも失われると推算している。
改革開放の40年余り、中国はグローバルな産業分業・協力に深く参加し、十分な経済・物質的基盤と力強い内在発展原動力を蓄積してきた。外部からの妨害が、中国の自力での発展と中国式現代化の実現という歴史的プロセスを阻止することはできないし、グローバル化の過程で中国が作り上げてきた世界との深い結びつきを断ち切ることもできない。中国が世界にもたらしたものが試練や混迷、リスクではなく、チャンスや安定、保障であることは、事実が十分に証明している。実質的には「デカップリング」や「脱中国化」である「デリスキング」こそが最大のリスクであり、このような政策がその目的を達することはできないだろう。(編集NA)
「人民網日本語版」2023年8月9日
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