「日本政府は原発汚染水の海洋放出を撤回すべき」

--- 伴英幸・原子力資料情報室共同代表

 2021年04月22日16:00

 日本の非営利法人・原子力資料情報室(CNIC)の共同代表を務める伴英幸氏は取材に対し、「日本政府は原発汚染水の海洋放出という決定を撤回し、福島原発事故の汚染水を処理する実行可能な案を改めて議論すべきだ。政府は各国と協議し、最良の案を共に見出すべきだ」とした。

1975年設立の原子力資料情報室は原子力関係資料の収集・研究・科学知識の普及といった活動を専門に行い、原子力問題に関する図書・雑誌資料2万5000冊以上を収集。スタッフには物理学を含む各分野の専門家がいる。

伴氏は世界を揺るがせた1979年米国のスリーマイル島原発事故をきっかけに原子力問題に注目し始めた。1990年に前職を辞してCNICのスタッフとなり、原子力の知識をゼロから学び始めた。伴氏は過去31年間、原子力の安全性、放射性物質、核燃料の再利用などに関する問題の追跡・調査・研究を続けてきた。

科学的で入念な調査研究の結果、CNICは福島原発汚染水の海洋放出は生態環境などに多大な影響を与えかねないとの考えにいたった。CNICは一貫して原発汚染水の海洋放出計画に断固として反対するとともに、様々なルートを通じて日本各界にこの考えを伝えてきた。4月13日に日本政府が原発汚染水の海洋放出を正式に決定する前に、CNICは政府に決定の変更を促す反対声明をウェブサイトに再び掲載した。

日本政府は以前、福島原発の汚染水について、利害関係者の理解と同意を得ない限り、いかなる処分もしないと表明していた。

伴氏は、「日本政府は以前の約束に背いている。国内では関係各方面の許可を全く得ておらず、国際的にも周辺諸国や国際社会の同意を得ていない。この決定は撤回すべきだ」と主張。

「日本政府は、希釈後の福島原発汚染水は海洋放出しても生態系への影響はほとんどないとしているが、私はこの点を強く疑っている。例えばトリチウムは人や他の生物に吸入された場合、長期間体内に残存する。海洋環境中では食物連鎖を通じて濃縮していく恐れもある。汚染された魚を人がひとたび食べれば、放射性核種が人体に入り、内部被曝し、DNAに影響が生じる恐れがある」とした。

また、原発汚染水をセメントと混ぜたコンクリートブロックを福島第1原発内の地下に埋めるのが最も合理的でコストも低い方法だとの考えを示した。(編集NA)

「人民網日本語版」2021年4月22日

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