湖北省武漢市の市民・黄根本さん(74)は10月27日、江蘇省南京市を目指し、自転車に乗って家を出発した。新型コロナウイルスに感染した自分の治療に当たってくれた南京鼓楼病院の医師に、直接会って感謝を伝えるのが今回の旅の目的という。江蘇新聞が報じた。
「武漢が非常事態だった時、中国全土の人が武漢を応援してくれた。当時、南京鼓楼病院の医師が僕が入院している病棟を担当していて、彼らは心を込めた治療を施し、僕を救ってくれた。とても感謝しており、自ら南京に行って、直接気持ちを伝えたいとずっと思っていた。当時、医師らは防護マスクをかぶっていたので、顔は見えなかった。でも、とても親切な人であることは分かった」と黄さん。
黄さんは、「仁心仁術 救死扶傷」と書かれたペナントも用意し、雨に濡れないようにペナントを何重にも包んだ。
スリムで健康的な体つきの黄さんは、以前から水泳と自転車が趣味。これまでの自転車の走行距離は3万キロ以上に達している。2017年には、四川省成都市から2000キロ自転車をこいで、西蔵(チベット)に行った。武漢から南京までの距離は約605キロだ。「この方法を通して、救ってくれた医師に、『回復してとても元気になった』と伝えたい」と黄さん。
黄さんが出発した日から、黄さんを救った医師らもその状況に注目している。
南京鼓楼病院の呼吸・危重症医学科の代静泓副主任は、「10月27日朝、回診が終わってすぐに、『先生に会うために南京に向かっています』というショートメッセージが届いた。とてもうれしかった」と話す。
代副主任によると、「黄さんの今回の自転車の旅は単なる思い付きではない。黄さんは医療従事者に、『元気になったら、南京に行きます』とずっと前から約束していた」という。そして、「黄さんの言葉には決意が表れていて、冗談ではなく、必ず実行するだろうと分かった。到着して、元気になった姿を見ることができれば、私たち医師が武漢に行った意義があったと言えるだろう」とした。
黄さんは10月31日午後4時10分、約束通り、南京に到着した。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年11月3日