コンピュータを起動・再起動する場合には、システム初期化が必要だ。未来の「量子コンピュータ」は、いかにして初期化を実現するのだろうか?中国科学技術大学の李伝鋒教授の研究チームは、清華大学、米ハーバード大学の研究者と協力し、このほど「マクスウェルの悪魔式量子計算冷却」という新しい方法を発表した。新華網が伝えた。
量子コンピュータの起動時の初期化は、計算ユニット「量子ビット」をエネルギーが最小の「冷たい量子」に調節する過程だ。しかし量子重置の原理のため、その際の量子システムには「基本状態」の冷たい量子と、「活性化状態」の熱い量子が存在し、これが混じり合っているため起動が難しくなる。これは世界の量子物理学界を悩ませる大きな難題だ。
19世紀の著名な物理学者のマクスウェルは、黒い箱の中に小さいドア付きの壁を設置し、一匹の悪魔にそのドアを守らせ、遅い分子を片側の空間に、速い分子をもう片側の空間に移るよう「指揮」させた。これは有名なマクスウェルの悪魔と呼ばれる現象である。
中国科学技術大学などの研究機関による国際共同研究チームは実験の中で、光学干渉装置を利用し冷却モジュールを作り、「量子の悪魔」としての役割を持たせ、冷却モジュールをつなぎ合わせた冷却ネットワークにより、量子システムの冷却を実現した。実験はその高い効果を証明し、冷却のフィデリティが97.8%以上に達した。
この研究成果はこのほど、世界的に権威ある学術誌「ネイチャー・フォトニクス」に掲載された。編集員はこれを高く評価し、この斬新な手段は普及の高い将来性を持つと指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年1月28日