中国人科学者、北極海のメタン漏出のメカニズムを解明
【中日対訳】 中国科学技術大学極地環境研究室の孫立広教授、周清教授らは、北極海中心海域のメタン漏出について初めて実地サンプリング採集・分析を行った。その結果、同海域に大量のメタンが存在することが明らかになった。またメタン漏出海域における海水の循環に、海水のメタン排出を妨げ、海氷表面もしくは内部でメタンを消耗させるという二つの作用があることが明らかになった。この調査結果は、北極海海域の温室効果ガス・メタンの科学的な評価に対して、一つの根拠を提供した。このほど世界的に有名な大気環境専門誌「Atmospheric Environment」が、ウェブサイトを通じて関連論文を掲載した。科技日報が伝えた。
メタンは地球温暖化を招く温室効果ガスで、その温室効果は二酸化炭素の25倍に達する。中国科学技術大学極地環境研究室の科学者は、2010年7−9月に中国第4回北極科学調査に参加した際に、北極海中心海域のメタン流量を測定した。測定により、同海域の海氷が割れると、メタン排出量が拡大する傾向があることが明らかになった。海氷下の海水の1平方メートル当たりのメタン排出量はその他の海域を大きく上回り、太平洋・大西洋の20倍以上に達する。これは北極海中心海域の海氷下の海水に大量のメタンガスが存在し、海氷により海水中のメタンの排出が妨げられていることを示す。また海氷表面からは、負のメタン流量が測定された。これは海氷の表面が、メタンを吸収・消耗していることを示す。
論文の執筆者の一人、何キン氏(キン=金が三つ)は、「海氷にメタンを消耗する酸化細菌が存在し、海氷表面のメタンが光化学作用により酸化している可能性がある。この研究は、温暖化と大気中のメタン濃度の増加は、悪性循環の過程であることを裏付けた」と語った。(編集YF)
「人民網日本語版」2012年12月6日