中国製造業「より強く、より確かなものに」
ある国の製造業の発展水準は、経済力や競争力を示す重要なものであり、世界経済におけるその国の位置づけを大きく左右する。ある研究資料からわかることは、英国や米国が先後して世界の工場になったとき、世界市場における両国製品のシェアは20%を超えていた。現在、中国のシェアは19.8%で、名実ともに世界の工場だといえる。だが中国の製造業は大規模化の後、モデル転換やグレードアップを遂げ、より強くより確かなものにならねばならないという歴史的課題に直面している。人民日報が伝えた。(文:謝経栄・全国人民代表大会法律委員会副主任委員、中華全国工商業連合会副主席)
中国の製造業は規模の上で世界一だが、問題は少なくない。最も目立った問題は大きいが強くないということだ。世界企業500社番付入りした中国企業の多くは、エネルギー、鉄鋼、電力、化学工業などの資源型企業で、ハイテク企業は少なく、華為と聯想(レノボ)の2社しかない。世界企業500社番付入りした米国企業は239社、中国企業はわずか25社で世界5位だ。この25社はハイテク企業とはいえない。
中国製造業が大きいのに強くない主な原因は次の4点だ。第一に、コア技術と独自ブランドが不足していることだ。中国企業が利用するコア技術とハイエンド技術の80%は海外企業に掌握されている。独自の知的財産権を備えた中国企業は20%に満たず、自主ブランドを輸出しているところは10%にも満たない。中国輸出製品の国際市場シェアは11%に達するが、ブランド占有率は3%未満だ。第二に、労働生産性が低いことだ。現在、中国製品の付加価値率は30%で、米国の48%、ドイツの47%、日本の41%とは隔たりがある。第三に、低レベルの生産能力が過剰にあることだ。鉄鋼、セメント、電解アルミなどで生産能力が過剰であるほか、工業製品382種類のうち87%が供給過剰だ。低レベルの生産能力が有り余る一方で、ハイテク技術や高レベルの生産能力は不足している。これに労働力コストや原材料コストの上昇が加わって、企業の営利能力が低下し、黒字企業の割合が下がっている。第四に、産業チェーンのローエンドにいることだ。世界の産業分業の中で、技術の研究開発、基準の制定、ブランドの運営、営業販売や流通の段階はどれも先進国が掌握しており、中国の製造業加工企業は今もなお従業員が多い、付加価値が低い、エネルギー消費量や電力使用量が多い、市場の変動の影響を大きく受けるといった問題を抱えている。
こうした問題から、中国製造業の発展段階の特徴や世界の産業分業における位置づけが映し出される。低コスト競争の時代に別れを告げた後で、中国の製造業の発展はどんな道を行けばよいだろうか。それは、より強く、より確かなものになるという道だ。数や低価格の追求から、製品の確かさとそれにみあった価格の追求、質とサービス水準の発展の向上に移行し、製品の競争力を高めるという道だ。また企業の組織化レベルを高め、企業のブランドバリューを高め、国際化の道を歩み、産業チェーンの川上・川下に手を伸ばして、企業の競争力を高めるという道だ。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年9月18日