海外から中国へ 帰国ブームが熱い (2)
「祖国に必要とされる」から「祖国が必要だから」へ
史上最大の帰国ブームの背景には、深く複雑な理由がある。その理由には中国が長い間留学帰国者を引き付けるための数々の努力をしたこともあるが、国の経済、社会が急速に発展しているという大きな魅力がより強い。
「これまで祖国は留学帰国者を必要としてきたが、今は彼らがより祖国を必要としているのだ」と米国から帰国したばかりの博士課程を修了した張岩道さんが本音を語ってくれた。
映画「中国合夥人」(American Dreams in China)では、血潮がたぎる中国人の若者が海外留学を渇望し、「本当に世界を変えていけるたった一つの場所である米国」と思っていたが、今となっては、だんだんと多くの人が夢をかなえる場所として中国を選択しようとしている。日ごとに繁栄していく中国は数多くの留学帰国者のためにこれまでにないチャンスを提供している。
ある「千人計画」(海外ハイレベル人材招致計画)の専門家が次の話をしてくれた。1980年代、彼が米国留学に行った時、最も強く感じたのは「驚嘆」と「恥辱」だったという。「驚嘆は米国がなぜこのように豊かで、恥辱は中国がなぜこのように貧しいかということだった。そして今外国に行く中国人留学生は、おそらく「驚嘆」するのは米国が思っていたよりも豊かでないと感じることだろうし、中国も彼らが思っていたよりも貧しくないと感じることだろう」と彼は言う。
「『頭脳還流期』に入ったのは、中国経済や社会の成長水準がすでにこの段階に入ったからで、同時に人材の国際化、経済のグローバル化の影響を受けているからだ」と鞏万氏は言う。中国にある巨大な市場、発展のチャンスや起業環境が、人々を引き付ける輝きとなっている。特に世界的な金融危機以降、一部の国では就業状況が急激に冷え込み、更に留学生たちの帰国の意思を固めさせた。これについて、今年帰国して腰を落ち着けた白双さんは非常に実感している。「現在、中国国内の発展水準は海外との差がどんどん狭まっている。しかも急速に経済発展しており未来も明るい。海外にいる必要はないだろう」--。
「千人計画」、「長江学者奨励計画」、「百人計画」…。中央から地方までのレベルで一連の政策を打ってきた効果が徐々に表れ始め、ハイレベルの人材の帰国を進ませる吸引力となっている。目下のところ、中央政府が行った「千人計画」はすでに3319人を引き寄せ、各地でも2万人以上が海外からの帰国者を引き寄せている。これには海外の高次元の人材が帰国して起業することも含まれている。2012年末、中国の留学帰国者起業団地で起業した企業は260社まで増え、2011年から100社増加、ここで起業した海外帰国者は4万人を超えて2011年の2倍となっている。
カナダでMBAを卒業した荘さんもそのうちの一人だ。卒業後、彼女は本来バンクーバーの人もうらやむような会社に就職して半年がたった頃、「じっと座っていることがつらくなって、私は会社の1本のねじに過ぎず、出世となると、思うことすら必要ない」--。帰国して起業することを選択することで、自分が労働者から意思決定者になっていることに気付いた。今はすでに5000人ものコアな顧客がある。「帰国後、(中国)社会の帰国者に対する重視や期待を感じることができて、その主流の中にいる感覚がうれしかった」という。
国にいる家族となじみの文化、これも留学生が帰国する大切な理由になっている。調査では、過半数の海外留学生が遠い中国にいる父母が自分に帰国を選択させていると考えていることがわかっている。これは一人っ子政策と深い関係がある。同時に海外にいる時間が長くなるにつれ、文化に対する帰属感も強まる。海外留学経験者は海外でやはり現地の主流文化に溶け込みにくく、発展のチャンスはまだいいとしても文化や言葉での限界はどうしても否めない。